上記のような質問を、初心者の人はもちろん、長くギターを弾いている人からも受けることがよくあります。 セッティングだけでなく、接続順もよくわからず、エフェクターの持つ個性&効果を十分に引き出せないでいる人が多いようです。今回はそういう人達のために、基本的なエフェクターの接続順&考え方を解説してみたいと思います。 |
接続する順番を知る前に、どんなエフェクターがあるのかを復習しておきましょう。 最近はエフェクターのクオリティもかなり高く、良い音をリーズナブルな価格で購入できるようになっています。このチャンスを活かすためにも各エフェクターの基本的特徴を覚えておきましょう。また、同じ種類(名前)のエフェクターでも、メーカーや機種によって様々な音色が選べるので、購入の際は必ず試奏させてもらって選びましょう。 |
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オーバードライブ
真空管アンプをフル・ヴォリュームにした時のような温かい歪みが特徴。 歪み方は比較的ライトだが、ピッキングのニュアンスなどはしっかり残る。 ロック、ポップスなど対応ジャンルは広い。 |
ディストーション アンプだけでは作れないような、キメの細かい、強烈な歪みが得られる。 サスティーンも長く、倍音も多いのでダイナミックなプレイが可能。 ハード・ロック、ヘビー・メタル、コアなどには必需品と言える。 |
ファズ 音をツブしたようなクセのある強烈にな歪み。いわゆる「ジミヘン・サウンド」だが、 最近ではグランジ系、オルタナ系、ブリティッシュ・ ロックなどで好んで使用されている。 「よもやま話第19回で歪み系エフェクターに関しては詳しく解説(音付き)しているので、 そちらをぜひ参考にしてみてください。 |
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コーラス 原音とショートディレイを混ぜて、2つの音の微妙なズレで広がりを演出してくれるエフェクター。 クリアーな音に使用すると、12弦ギターのような広がりのあるサウンドが得られる。 歪んだ音に使用しても厚みが増して効果的。 |
フランジャー 原理はコーラスと同じだが、こちらはよりアクの強いサウンド。 周期的にウネっていくサウンドはディストーションと組み合わせると、正に“ジェットサウンド”になる。クリアな音に使用すると、コーラスとはまた違った広がり方をしてくれるのでオススメ。 |
フェイザー ロータリー・スピーカーをシュミレートした、ウネるような、回転するようなサウンド。 ウネリの周期(長さ)を変えることで、様々なプレイに応用できる。 ファンク系のカッティング・ギターには必需品。 |
トレモロ フェンダーやヴォックスのアンプに付いていて、サーフ・ミュージックやベンチャーズ・サウンド、ロカビリーなどには欠かせないエフェクター。 単純に音を揺らすエフェクターだが音量を周期的に変化させるしくみで、その効果は絶大。最近ではブリティッシュ・ロックなどで好んで使用されて、オシャレなサウンドに位置付けられている。 |
ヴィブラート こちらもトレモロ同様、音を揺らすエフェクトだが、最近はあまり見ない。 エフェクト音のピッチを微妙にズラして独特の広がり感を得ることができる。 個性派にオススメ。 |
オートワウ ワウワウの効果を設定した周期でオートでかけるエフェクター。 ファンクなどでよく使用されるが、最近ではピッキングによってワウのかかり具合が変化するものや、シンセ風のサウンドを出せるものも販売されている。 |
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ディレイ いわゆる「こだま」的効果を演出するエフェクター。 ショート・ディレイでダブリングの効果を出したり、 曲のテンポに合わせてリズミックにディレイ音を活用したり、 ディレイ音をステレオにして左右にパンを振ったり(2台のアンプが必要)、 様々な効果が得られるので、1台は持っていたいエフェクターの1つ。 |
リヴァーブ いわゆる「エコー」的な残響音を残す効果。 昔のサウンドにこだわる人などはリヴァーブの代わりにテープエコーを使用する人もいる。アンプにリヴァーブが付いていない場合、サーフ・サウンドのような残響感がほしい時などは、エフェクターでリヴァーブを付け足す。 アンプにリヴァーブが付いていればわざわざ購入する必要はない。 |
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グラフィック・イコライザー ギターやアンプに付いているトーン・コントロールはかなりおおざっぱなので、 さらな細かなセッティングをしたい人には必需品と言える。 高音〜低音までの周波数帯をいくつかに区切って、その決められた周波数をブースト&カットするイコライザー。 コントロール・バーの位置で高音〜低音にどの様なEQをかけたかが、ひと目でわかるので使いやすい。 |
パラメトリックイコライザー 効果はグラフィック・イコライザーと同じですが、自分の補正したい周波数を自分で選んでブースト&カットできるので、より細かい音作りができるのが特徴。 ただし周波数帯によるサウンドの変化など、ある程度の経験と知識が必要になる。 |
コンプレッサー 音ツブをそろえて、サスティーンを延ばす効果がある。 つまり、あるレベルを設定すると、それを越えるレベルの入力音は押さえて、減衰していく音を設定したレベルに立ち上げてくれるので、サスティーンが延びて、ピッキングのアタックが均一になるというしくみ。ギター・ソロやカッティングなどに使用されることが多い。 歪み系と組み合わせると延びのあるサウンドが得られる。 |
リミッター コンプレッサーが、音全体を圧縮して詰まったような圧縮感のあるサウンドになるのに対して、リミッターは、設定した入力のピークのみをカットするしくみなので、エッジ(高音)のキツすぎるディストーションを柔らかくしたり、ピッキングのツブをそろえたりする使い方が主。 |
プリアンプ ギターにプリアンプが内蔵されているタイプのものを「アクティブ」と呼ぶが、 普通の「パッシブ」のギターでも、ギターの後にプリアンプをつなぐ事によって、 音色を作りながら入力レベルを上げた「アクティブ」的サウンドを作る事ができる。 |
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オクターバー 原音に1オクターブ〜2オクターブ下の音を加えるエフェクター。 オクターブ奏法のような効果が得られる。 またはベースとユニゾンしているような効果も得られるのでリフに迫力がでる。 |
ピッチシフター ひとりツイン・リードができるエフェクター。 つまり、原音に対して3度4度5度・・・などのハモリを付け加えることができる。 キーの設定もできる機種もあるので手軽にツイン・リードを演出できるのでオススメ。 |
ワーミー・ペダル 原音を自分で決めた音程幅にペダルで音を飛ばすことのできるエフェクター。 まさに飛び道具だが、使い方をマスターすればかなりおもしろい効果が得られる。 |
エンベローブ・フィルター フィルター系も様々な種類があるが、代表的なのがこのエンベローブ・フィルターだ。オクターブ上や下の音を混ぜながらウネっていくそのサウンドはかなりブッ飛んでいる。ファンク系のベーシストが多く愛用しているが、ギター・ソロなどで使用する人も多い。 |
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ノイズゲート エフェクターをたくさんつないだ時に気になるノイズをカットしてくれるエフェクター。 「設定した音量レベル」まで音が減衰するとゲートが閉まって完全に音をカットしてしまう仕組。この音量のレベル設定によっては音が延びている途中で音が消えてしまう事もあるので注意が必要。センド&リターンでノイズを発生しやすいエフェクターのみにノイズ・ゲートをかける事のできるタイプのモデルもある。 |
ボリュームペダル
ヴォリュームをペダルで操作できるのでヴォリューム奏法が手軽に楽しめたり、チューナー・アウトの付いているモデルではチューニング時に音を消す事もできたり、かなり便利なアイテムです。ミニマム・ヴォリュームの付いたモデルならば、バッキング時とソロ時の音量をペダルで設定できるので非常に実戦的。 |
ワウペダル いわゆる「ワウワウ」効果が得られるペダル型エフェクター。 ロック、ファンク、ポップスなど使用範囲はかなり広い。 トーンの高音〜低音までをペダルで無段階にブーストしていく仕組。 最近ではこの周波数の範囲を指定できるモデルもある。 |
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基本的な接続順
「エフェクターの接続順は絶対にこうでなければいけない」という決まりはないのですが、つなぎ方によっては効果が半減してしまう事もあるので、一応接続の基本的な知識は知っていた方が良いと思われます。基本を知った上で自分なりに工夫してオリジナルなサウンドを探してみるとよいでしょう。 1.系統別の接続順 |
最後に音を揺らしたり広げたり するエフェクターをつなぎます。 アンプ |
※イコライザーの位置について イコライザーは通常、歪み系の後につないでギターサウンドの柱になる歪みのカラーを補正し、決定づける役割をします。 これに対し、歪み系の前につなぐとブースト&カットした周波数により個性的な歪みを得ることができます。 |
2. |
エフェクター別の接続順 上記の「系統別の接続順」を基本に代表的なエフェクターを例に挙げて、エフェクター別により細かい接続順を解説していきたいと思います。モジュレーション系のエフェクターに関しては2つ以上同時に使用する事も少ないので順序はあまり気にしなくて良いでしょう。下図でもモジュレーション系はひとまとめに示してあります。この接続順を基本にして、自分なりに順番を変えてイメージした音を作る工夫を重ねていって下さい。 |
リバーブ | コーラス | ディレイ |
フランジャー フェイザー トレモロ |
イコライザー |
オーバードライブ ディストーション |
コンプ リミッター |
オクターバー ピッチシフター |
「ディレイ←コーラス」のつなぎ方も多い クリアなサウンドが得られる |
逆でもよい |
3. |
ヴォリューム・ペダル及びワウ・ペダルの位置について 上記2つにペダルを配置する位置は、いくつかの選択肢がありますので下図を参考に試してみて下さい。
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ラインセクターやABボックスなどを使った、応用的な接続例 ラインセクターやABボックスなどを使って、ステージでのチューニング時の消音に応用したり、2本のギターをつなぎ換えずに持ち替えられるようにしたり、ソロとバッキングのサウンドを切り替えたりしてみましょう。主にライブ・ステージ上での接続の応用例を示してみます。もちろんラインセレクターの機能によっては下図の他にもさらに便利に、様々なサウンドを切り替えることができるので、自分が購入した機種の説明書などを参考に工夫してみてください。また、デジタル・エフェクターのように、たくさんのコンパクト・エフェクターをコントロール・ボードにつないで、セレクトするエフェクターをプログラムできるものもあるので楽器店で聞いてみてください。 1.系統別の接続順 |
アンプ | エフェクター類 |
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ラインセレクター (AB BOX) |
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チューナー |
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2.二つのセッティング又は 二つのアンプを切り替えて使用する |
アンプ【1】 | エフェクター類 |
バッキング用 ソロ用 |
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アンプ【2】 | エフェクター類 |
「A+B」という設定ができる機種では、A「アンプ1(原音)」とB「アンプ2(エフェクト音)」の両方を同時に鳴らしたステレオ的音作りも可能。 |
3.二本のギターを持ちかえて使用する |
アンプ | この間にワイヤレスシステムを挟んでも良い |
つなぎ替えずに2本のギターを持ち換えられるので便利 |
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今回はエフェクターの基本の特性とその接続順についてアドバイスしてみました。 せっかくエフェクターについて話を進めてきたので、次回はジャンル別のエフェクターのセレクトとセッティングなどについて、解説してみたいと思います。 尚、録音のススメ2 でもエフェクターについて解説しているものがありますので、ぜひ参考にしてみてください。 高田二郎が斬る!! のコーナーも各エフェクターについて深く掘り下げて話してくれているので勉強になりますよ! |
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