「エレキギターとアンプはセットで、ひとつの楽器」とよく言われますが、たくさんのツマミに圧倒されて、なんだか複雑に感じてしまう人も多いと思います。でも基本的なギターアンプの知識を覚えて、理想のサウンドをゲットしたいですよね!?今回は疑問だらけのアンプの使い方について、『使う』という視点を中心にシンプルに解説してみたいと思います。知っておくと便利なマメ知識や、セッティングのコツなど、すぐに役立つ『アンプの基本』を紹介してみます!! |
どのような形式のアンプがあるのか代表的なアンプの例などを挙げてチェックしてみましょう。
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ギタリストやオーディオ・マニアなどに『真空管アンプ』はなぜここまで人気があるのでしょう? 『真空管アンプ』と『トランジスタ(ソリッド・ステート)・アンプ』の違いを簡単に表現すると、真空管アンプは『温かく柔らかい音』。それに対してトランジスタ・アンプは『硬くて冷たい音』などと言われます。その原因は真空管とトランジスタの電気信号の“歪み方”の特性によるものだと考えられます。真空管は限界を越えた入力信号にも多少持ちこたえられるため「なめらかに歪む」特性があるのに対して、トランジスタは限界を越えると「急激に歪んで」しまいます。そのため真空管アンプが「プリアンプの増幅過多」によるマイルドな歪みを作りますが、トランジスタ・アンプは「増幅過多」になると耳に痛い歪みになってしまうので、ダイオードなどの歪み用の回路などで歪みを作っています。 ![]() トランジスタも悪いところばかりではなく、非常に長寿命(半永久的)で幅広い周波数をフラットに素直に再生してくれるという特徴も持っています。性能の低下もほとんど無いので常に安定したサウンドを得られます。また、ダイオード回路で歪みを作るので小さい音量でも十分に歪んだ音を作ることができます。これに対して、真空管はパーツとしても性能はトランジスタにはるかに劣ります。寿命も短く、多くの電力を必要として、不安定。表現できる周波数もトランンジスタよりも狭いようです。それでも真空管の方が音がいいと感じるのはギターにとって一番オイシイ周波数を耳に優しく歪ませてくれるからだと思います。人間の感覚というのは「数値」では計り知れないものですね・・・。
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たいていのアンプのツマミは左から順に『歪みを調整するツマミ』(ゲイン、ボリューム)→『アンプの音量を調整するツマミ』(マスター・ボリューム)→『音色(トーン)を調整するツマミ』(プレゼンス、トレブル、ミドル、ベース)→『音を飾る(エフェクト)空間系ツマミ』(リヴァーブ、トレモロ、コーラスなど)という順になっています。これを踏まえた上で、各ツマミの機能をチェックしていきましょう!!
※ボタンをマウスオンすると各ツマミの説明が表示されます。
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1台のアンプに2〜3個の別々のプリアンプを備えていて、それぞれを『チャンネル(ch)』として切り替えて使用できるタイプ。最近のセパレート・タイプのアンプに多く、1台でクリーン&バッキング&ソロのサウンドをフット・スイッチ瞬時に切り替えたり非常に使い勝手の良い方式です。フェンダー・ツイン系、ローランドJC-120などもプリアンプを2つ搭載していて、独立した音作りのできる2つの『チャンネル』を持っています。 |
1つのボリューム・ツマミで『ゲイン(歪み)』と『ボリューム(音量)』をひとまとめにしたタイプ。 大型ではオールド・マーシャル、小型ではフェンダー・チャンプなどがこのタイプを採用しています。 ボリュームを一定の音量以上に上げると、徐々に歪んでくるしくみです。 かなりの音量になるのでこのタイプのアンプ「W(ワット)数」の小さいアンプの方が使いやすいかもしれません。 ![]()
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プリアンプの役割 ギターアンプは「プリアンプ」と「パワーアンプ」で役割分担する構造になっています。 「プリアンプ」は主に、ギターからの信号をトーンコントロール(EQ)したり、リヴァーブなどのエフェクトをかけたり『音のキャラクターを決定する』役割を果たす部分です。 同時にギターの信号をパワーアンプが増幅に必要とするレベル(音量)まで引き上げる役割も持っています。エレキギターはもともとごく小さい出力しかないので、そのままの音をスピーカーで再生できるレベルまで増幅すると“ノイズ”などの影響が大きすぎてしまい、良い音を作れません。そこでプリアンプで音色を補正しながらレベルをある程度増幅する必要があるわけです。 パワーアンプの役割 「パワーアンプ」は簡単に言えば『プリアンプで作った音をそのままスピーカーで鳴らせるレベルまで増幅する』役割を持っています。よく50ワット(W)や100ワット(W)という表示がありますが、これはパワーアンプの能力を示すものです。基本的に、プリアンプの増幅量が大きすぎることでアンプは“歪む”ので、アンプに付いている2つのボリュームは「ボリューム=プリアンプの増幅量(歪みの深さ)」「マスター・ボリューム=パワーアンプの増幅量(音量)」によると考えて良いでしょう。「プリアンプ」と「パワーアンプ」を別々にラック形式にしたタイプもあります。
スピーカーの形式による違い 最終的に実際に“音”を再生するのはスピーカー部です。「スピーカー自体の大きさ(直径、インチ)」や「キャビネット(スピーカー・ボックス)の方式&材質」によってもサウンドは大きく違ってきます。
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インプットのHigh(1)とLow(2) まず最初にギターとアンプを接続しなければなりませんが、「インプット」が2つあったりでいきなり困惑した経験がある人も多いと思います。ギターをつなぐ場合、一般的に『High(1)』の方のインプットにジャックを接続します。ギターの信号は非常に弱いので、名前の通りハイパワーの『High(1)』のインプットが最適とされています。アクティブ(プリアンプ内蔵)のギターや、アンプとギターの間に別の“プリアンプ”を接続して細かい音作りをしたい場合などは『Low(2)』インプットにジャックを接続します。
セッティングはフラット(12時方向)から始める ギターアンプのトーン・コントロール(EQ)は非常に調整幅が広く、オーディオのような『フラット』な位置が存在しないという特徴があります。通常オーディオなどは、何のトーンコントロールも効いていない『フラット』な状態から高域や低域を増減させてEQをかけるしくみになっています。これに対してギターアンプは『フラット』の位置が無いので、使うギターや環境に合わせて自分の耳を頼りに音を作っていくしくみになっています。『フルテン』というカッコイイ言葉をよく耳にしますが、昔のアンプはEQがほとんど効かなかったので、トーンをすべて“10”にしてしまうセッティングも一般的(特にオールド・マーシャル)でしたが、最近のアンプで安易に『フルテン』にすると耳障りな暴れた音になってしまうことが多いので注意しましょう。やはり“EQ”(プレゼンス、トレブル、ミドル、ベース)はすべてのツマミをフラット(12時方向)にしてから音作りをスタートするのが良いでしょう。その後、足りないと思われる音域を増やしたり(ブースト)、強すぎると思われる音域を減らしたり(カット)して好みの音色に近づけていって下さい。
ギターは中域と高域がミソ 音楽的なバランスという観点からも、ギターのオイシイ音域は主に『中域』とされています。 それに『高域』のキラキラ感が加わって、ギターらしい“いい音”になります。そのため、特に「中域(ミドル)のツマミ」で音色のキャラクターが劇変します。基本的に中域(ミドル)をしぼると“抜け”が良くなり(しぼりすぎると芯がなくなるので注意)、中域(ミドル)をブーストすると太くてサスティーンのある温かい音になります(アンプによっては高域も一緒に上がるので気をつけましょう)。クリーン〜クランチのカッティングなどは中域(ミドル)をしぼって“抜け”を良くする。 強烈に歪ませたハードな音は『ドンシャリ』といわれる「トレブル&ベース10、ミドル0」のセッティングにする。 ギター・ソロは中域(ミドル)を上げてマイルドでサスティーンのある音に仕上げる、などの傾向があります。 次回に具体的なセッティング例を上げて図解したいと思います。 セッティング時に気を付けるモニター(聞く)位置 ライブやレコーディングなどではスピーカーの前にマイクを立てて音を拾うため、普 段自分が聞いているアンプの音とかけ離れてしまってビックリしてしまった経験のある人も多いと思います。アンプの音は『真直ぐ前に飛ぶ性質』があるので、立ち位置や耳の高さ(座るか立つか)によって聞こえ方にかなりの違いが出てしまいます。ライブやレコーディングなどの場合は普段からスピーカーの前に顔(耳)を近づけて音作りをしたり、マイクを当てるポイントを研究したりしましょう。小さなライブハウスなどでは、アンプから出る音が直接客席に届いていることが多いので、客席からも自分のアンプの音を聞いてみたり、色々な要素を総合的に考えて“いい音”を作るように心がけましょう。リハーサルなどの場合は、アンプの真ん前に立ったりすると周りの人に自分のギターの音が全く聞こえなくなってしまったりします。アンプの向きや立ち位置で、他の人にはうるさいのに自分には全く聞こえなかったりしてしまうので、自分にも他のプレイヤーにも優しい『位置』を研究してみて下さい。 アンプを斜めに傾けたり、アンプの中心から少し離れて立ったり工夫してみましょう。
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今回はギターアンプの仕組みと簡単な仕組みと、使い方について解説してみました。次回は実際のセッティングなど、もう少し踏み込んでアンプの使いこなし術について話してみたいと思います。お楽しみに〜。 |
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