ギターよもやま話 No.23

ある程度長く音楽をつづけていても、意外に知らない音楽用語というのは結構あるものです。
例えば、仲間と話していて「“4リズム”なのに、なんでこんなに分厚いサウンドなんだろう?」とか、「この曲、“ハチロク”の方がカッコ良くない?」などという会話になって、“4リズム”や“ハチロク”などという、正式ではない実用語がわからずに苦笑いをしながら、うなずいた経験のある人も多いと思います。かといって、今さら人に聞くのもちょっと恥ずかしいと思いながら、時間ばかりが過ぎて、わからないままになっている音楽用語ってありませんか?今回はそんな人たちのために、よく使う正式な音楽用語から口語的な実用語までを、私なりに抜粋して紹介していきたいと思います。

◆アレンジ系の用語
1.アドリブ
即興演奏のこと。
決められたコード進行や曲の上で自由に演奏すること。『インプロビゼーション』とも言う。


2.オブリガート
主のメロディを引き立たせるために、演奏される、対のメロディ的パートのこと。
ストリングスなどの主のメロディを盛り上げる裏メロディ的アレンジと考えればよい。


3.キメ
アレンジ上で、リズム的なアクセントなどを効果的に用いて、変化をつける手法。
バンド全員でリズムを合わせたり、一部を合わせたりしてハデな効果を狙う。


4.クリシェ
同じコードの中の1つの音を半音または全音で移動させて、
スムーズなラインを作る手法。
5.ハモる・ハモり
 歌やソロなどのメロディ・パートにハーモニーを付けて演奏すること。

6.ユニゾン
 2つ以上の楽器で、同じメロディ・パートを演奏すること。
 オクターブ違いもユニゾンと呼ぶことが多い。
 「ドラムもユニゾン」と言った場合はリズムを合わせること。


7.フィル・イン (フィル、オカズ)
 歌などのメロディとメロディの合間に入れる、オカズ的フレーズ。
 演奏する人のセンスに任せられることが多いので、ミュージシャンとしてのセンスを問われる。
 あくまで、メロディを壊さないことを心掛けること。


8.フェイク
 メロディ・ラインを崩して、もとの雰囲気を残しつつ、装飾して演奏すること。
 ここからアドリブに発展させていくとよい。


9.ブレイク・ビーツ
 ドラム・パートを1〜2小節単位で切り抜いたもの。打ち込みで音を加えたり他のブレイク・ビーツやシーケンスと重ねたり、バラバラに切って組み直したりすることもある。基本的にはループして使用する。

10.モチーフ
曲のテーマ的な短いメロディ(フレーズ)の単位。モチーフを発展させてアドリブや曲のメロディを作ると良い。
モチーフを繰り返すことを、「リフレイン」と言ったりもする。


11.リピート
指定範囲や、リフ、フレーズなどを繰り返すこと。

12.エックスタイム(X-time)
エンディングなどで、バンド全員でソロをまわしたりする時に、バッキングのリピート(繰り返し)の回数を決めないで行う事がよくあります。そのような時に「じゃあ、ここは“エックス・タイム”でいこう」などと言ったりします。
終わる時は合図を決めて“目”で合わせます。


13.リフ
バッキングとして繰り返して使われる短いフレーズ。曲を印象づけるテーマ的フレーズ。
ロックなどに多いアプローチ。

14.ループ
ブレイク・ビーツやシーケンス、ギターやベースなどの一定の“フレーズ・パターン”、“リズム・パターン”を繰り返すこと。

15.ドライ
原音のこと。エフェクトなどのかかっていない素の音。(歪み系は原音扱い)

16.ウェット
エフェクト音のこと。原音は含まれない。
アンプの“センド&リターン”で混ぜるエフェクト音も「ウェット」。

17.シーケンスパターン
機械的な短いフレーズの繰り返し。アドリブなどで使用すると盛り上がる。


◆リズム系の用語
1.アタマ
出だしの音。「アタマをそろえて」などという言い方をする。「出だしをキッチリそろえて」という意味。

2.アフタービート
4/4の時の“2&4拍目”のこと。または2&4拍目を強調して演奏するビート感のこと。
ポピュラーミュージックのほとんどがここを強調したノリなので非常に重要。

3.
ウラ

1拍を2分した(8分音符)後ろの(2つめ)方のを指す。弱拍ともいう。

4.オモテ
1拍を2分した(8分音符)場合の後ろの(2つめ)方のを指す。
強拍ともいう。



5.くう (シンコペーション)

オモテの音とその直前のウラの音をつなぐことで、アクセントが半拍前に移動するので、リズムに変化を与えることができる。いわゆる“シンコペーション”のリズムである。また、16分音符で「くう」こともある。


6.グルーブ
ひと言で言えば「ノリ」。
ファンク、ヒップ・ホップ、ジャズ、ロックなどのポピュラー・ミュージックでは「グルーブ」ということが多い。

7.ジャスト
曲のテンポに正確に合わせて演奏すること。

8.タテ
バンド内で「もっとタテのラインを揃えよう!」という言い方をしたりする。
リズムを他の楽器とピッタリ合わせるということ。

9.タメる
どちらかというと、後ろにひきずるような感覚で演奏すること。落ち着いた感じになる。

10.ツッこむ
“タメ”とは逆に、少し前のめりな感じで演奏すること。スピード感のある感じを出せる。

11.ハシる
演奏中、テンポが徐々に早くなっていってしまうこと。

12.モタる
演奏中、テンポがだんだん遅くなっていってしまう。

13.ユレる
演奏中、テンポが早くなったり、遅くなったりしてしまうこと。


14.BPM
“Beat Per Minute(ビート・パー・ミニット)”の略で、「1分間に4分音符が何回刻まれる速さか」を表す。いわゆるテンポのこと。フレットで覚える音楽理論3回参照
BPM120」の意味→

15.ドンカマ
クリック、メトロノームのこと。KORGの「ドンカマティック」 というリズムマシンからきた通称。


16.3連系
3連符を基準にした“ノリ”のとり方のこと。「バウンス」「シャッフル」など。

17.バウンス
いわゆる“ハネる”こと。
ハネた感じで演奏するのだが、きっちり3連符で演奏するのではなく、演奏者の感覚によるところが大きいのがポイント。
自分なりのバウンスのノリを意識して持つようにしよう!
18.シャッフル
ブルースに代表される黒人音楽独特の“ハネたノリ”。
基本的には8分音符が“ハネた(バウンスした)リズム”ということになる。

19.バイテン
倍のテンポで演奏する。

20.ハーフ・テンポ
半分のテンポで演奏する。

21.イン・テンポ
“フリー・テンポ”や“rit”などでテンポを崩した演奏を、もとの指定されたテンポに戻すこと。

22.フリー・テンポ(ルバート)
自由なテンポで演奏すること。

23.rit.(リット)
リタルダントの略。エンディングやブレイクなどで効果的に使われることが多いが、だんだん遅くしていくこと。

24.ハチロク
6/8(8分の6拍子)の略称。

25.4リズム
ドラム&ベース&ギター&キーボードという。
ロックやポップスなどのポピュラー音楽で最も基本とされるバンド編成のこと。

26.リズム隊
リズムを支える楽器をまとめて“リズム隊”と言ったりもする。
ドラム、ベース、パーカッションなどを指すことが多い。

27.ポリ・リズム
「4/4と3/4」のように異なる拍子(リズム)を同時に使うこと。
パートごとのアクセントの位置をずらして、同じような効果を得る使い方が一般的。
チャック・ベリーのギター・ソロを想像するとわかりやすい。


◆レコーディング系の用語
1.デモ
曲の雰囲気&コンセプト、アイディアなどが最低限伝わる仮の録音。音質よりも内容重視。
いわゆる“デモ・テープ”と呼ばれる。


2.プリ・プロ
“デモ・テープ”のワン・ランク上のクオリティを持つ、“デモ”。
アレンジの最終段階まですべての楽器&歌が曲の始まりから終わりまで、完全に録音されていて、本番のレコーディングに入る前の最終チェックができる状態のもの。


3.TD(ティー・ディー)
“トラック・ダウン”の略称。録音されたすべてのトラック(楽器)をミッキシング(音量調節&パンの割り振り)をして、ステレオ(2トラック)のマスター・テープ(仕上がりの状態)を作る作業のこと。
曲全体の雰囲気を決めるのに非常に重要な作業。『マスタリング』、『落とし』とも言われる。


4.パン(PAN)
録音された楽器が左右のどの辺から聞こえるかを決めること。

5.フェード・イン
曲のイントロなどで用いられるが、音量をだんだん上げていく入り方のこと。

6.フェード・アウト
音量を少しずつ下げて音を消していく手法。曲のエンディングに用いられることが多い。

7.重ねる(オーヴァー・ダビング
いわゆる多重録音のこと。
すでに録音された音を再生しながら、新たに別のパート録音を独立して行うこと。
たくさんのテープ・レコーダーを同時に録音&再生する仕組み。
自宅録音では“MTR”や“パソコン”での録音が一般的。


8.シーケンス
打ち込んだり、録音したりした“曲”または“パターン”のかたまり。

9.同期
「パソコン」と「MTR」など、複数の録音機器をMIDIを使って同時に動かすこと。
またはライブなどでは、ドラマーが録音された曲やシーケンスに合わせて演奏することで、バンドの演奏をすでに録音された音(曲)に合わせることが可能。ライブで再現不可能な音を使いたい時に有効な“同期”の手法。

10.サンプリング
「標本化」という意味。音楽の世界では、サンプラーなどの機器で、録音した“音”や“パターン”を標本化して、音源として使用するのが一般的。動物の声からエンジン音まで、現実世界の音ならば、どんな音でも楽器として鳴らすことができる。

11.エディット
「編集」という意味だが、音楽で“エディット”といえば、エフェクターやキーボード、シーケンサーなどのプログラムやパラメーター(ツマミ)を調整して、自分のイメージした理想の音色を作っていく作業のこと。

12.アタッチメント
ギタリストにとっての“アタッチメント(付属品)”は、エフェクターのことを指す。


◆その他よく使われる用語
1.アタマ
出だしの音。「アタマをそろえて」などという言い方をする。「出だしをキッチリそろえて」という意味。

2.うたう
楽器を演奏する上でもっとも重要なポイントである、“歌うように弾く”こと。
フレーズやリズムは楽器で弾く前に、必ず口に出して歌ってみるとよい。より感情豊かな演奏ができる。


3.なく
「鳴きのギター」などという言い方をする。感情をたっぷりと込めた熱い演奏のこと。

4.ダイナミクス
音の強弱のことを指す。「ダイナミクスをつけて弾く」というような言い方をするが、強弱をしっかりつけてメリハリのある演奏をするということ。

5.ピッチ
「ピッチが悪い」とか「ピッチが正確」というような使われ方をするが、簡単には“音程”のこと。

6.ブルージー
ブルースっぽい演奏。ブルーノートを効果的に使って“哀愁感”のある感じの演奏。

7.SE
サウンド・エフェクト(効果音)の略だが、ライブ前などに会場に流しておくBGMのことを指したり、曲の入りの部分に入れる短い曲や効果音のこを指す。

8.トラ
代理で仕事をしてもらうこと。「今度のリハ、“トラ”頼んでいい?」のように使う。

9.ぼ〜や
ローディーのこと。レコーディングやライブなどで専属で手伝う人。


ギタリストとして知っておいた方が良いと思われる『音楽用語』を紹介してみましたが、いかがでしょう?意外にあいまいに理解していた用語も結構あったのではないでしょうか?
次回は“今さら聞けない”シリーズ第2段として、ギター譜の表記や楽譜の読み方についての盲点をついてみたいと思います。

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