ギターよもやま話 No.5

J-Guitar.com の掲示板「誰か教えて!」に耳コピについての質問がありました。
スタッフにとっても大変興味のある事柄なので早速「フレット・・・」と「ルーツ・・・」を担当してもらっている
岩下潤さんに質問してみました。
そういうわけで 今回は岩下さん流の「耳コピの秘訣」を紹介します。


岩下さん流・耳コピの秘訣

「耳コピってどうやればいいんですか?」という質問をよくされるんですが、これだけは「根気」と「慣れ」の世界だと思うので、少しずつ自分でやってみるしかないと思います。(絶対音感のない人の場合)。
そこで今回は、僕なりの「耳コピ」のコツとか手順などを説明していきます。僕のやり方が100%正しいわけではないのですが、みなさんが「耳」コピをする時の“参考”にしてもらえればと思います。

用意するもの

カセットテープ ステレオラジカセ(安価なものでよい) 五線譜ノートやTAB譜など 筆記用具 ギター
これらに加えてCDなどのコピーしたい元の音をカセットに録音できるオーディオ機器(CDラジカセでもよい)

あると便利なもの

「耳コピ」をするのに、音程を変えずにスピードだけを遅くできる“フレーズ・サンプラー”や“DJ用のCDプレーヤー”などがあるとさらに便利でしょう。これらの機械を使うと、音程はそのままにコピーしたい部分のスピードだけを落とせるスグレ者なので、速弾きなどの高速フレーズをコピーする時など助かります。
最近では単体のもの以外にも、マルチ・エフェクターに内蔵されていたりもするので手に入りやすくなっています。機会があれば試してみて下さい。


◆「耳コピ」のやり方(僕流の手順)

1.CDなどからコピーしたい曲やフレーズをカセットに録る。
  (この時、基準音をチェック)

2.ラジカセで再生してで調べた基準音に合わせて、
  自分のギターをチューニングする。 
3.音をコピーする。

例1
“単音をコピーする
1. 「ド・ソ・ミ」というフレーズがあったとします。音がとれなかったらまず、「ド」とフレーズの最初の音が鳴ったところで「STOP」ボタンを押して音を止めます。人間の耳は最後に鳴った音を覚えているので、ギターでその音を探してメモしておきます。
2. 次に「ド・ソ」と2つ目の音が鳴ったところで「STOP」します。「ド」に対して「ソ」という音との距離から音を探したり、さきほどの要領で耳に残った音を探したりします。
3. 次に「ド・ソ・ミ」と最後の音が鳴ったところで音を止めます。
同じ要領でギターで音を探して下さい。
4. 音がとれたら「ド・ソ・ミ」とフレーズ全体を聞きながらリズムを調べてメモします。
5. カセットに合わせて弾いてみて下さい。

※1音1音、順番にとっていくので、かなりの手間と時間がかかりますが、このやり方ならほとんど正確に音を拾うことができると思います。
例2
コードをとる
1. コードの場合も単音の時と同様に、調べたいコードが鳴ったところで
「STOP」ボタンを押して音を止めます。
2. まず、そのコードの1番低い音だけを聞き取ります。
3. 次にそのコードの1番高い音を聞き取ります。 低い音と高い音の両はじの音がとれたら、
  だいたいのポジションの当たりをつけてみます。
4. 暗い響きか明るい響きかを判断して、マイナーコードかメジャーコードを調べます。
5. 2〜4のことを踏まえて、真ん中の音を聞き取ってみます。
  あとはKeyや前後のコードとの流れでコードを決めます。
◆「耳コピ」のポイント
カセットテープ
 まず、僕の経験上「耳コピ」をするならカセット・テープが1番だと思います。
なぜならカセットが1番「STOP」ボタンを押した時の止まる精度がよいからです。狙った音でピッタリ止めることが「耳コピ」の際には大切なのでアナログで安価なカセット・テープ&ラジカセが1番よいでしょう。時代はMDやCD-Rなどのデジタル化の方向に進んでいますが「耳コピ」には絶対カセット・テープがお薦めです!
チューニング
 カセットの唯一の弱点はデッキによるテープ回転数の誤差があるということです。
これによって、音程が狂ってしまいます。CDやレコードなどで原曲のポイントになる音から、曲やフレーズの“基準になる音”や“オリジナル・Key”をしらべておく事が大切です。
ここで調べた音を目安に、コピー時にラジカセから再生される音とギターをチューニングして下さい。
表記法
 「昔はレコードが擦り切れるくらい聞いて、それに合わせて何度も弾いて覚えたもんだ」みたいな話をよく耳にしますが、時間が無い時や覚え切れないという人は、自分なりの表記法を決めておくとよいでしょう。
コピーした音を正確な譜面におこす必要はないので、最低限、自分にわかる書き方で十分だと思います。
僕の場合はたいていTAB譜(数字のみ)にリズム譜だけ付けるやり方でメモしています。それと、後で応用できるようにKeyやコードを書いておきます。
リズム
 フレーズや曲のコード進行などをコピーした時に、リズムだけは正確に理解して書けるようにしましょう。
そうでないと「どの小節でコードが変わったか?」とか「どんなリズムのフレーズなのか?」などの大切な情報を知ることができないからです。リズム譜を書く練習も必要ですが、手でひざや机をたたいてビートを刻みながら、常に口でリズムを歌う(言う)クセをつけて下さい。
雰囲気&呼吸
 「耳コピ」をする時に、音の1つ1つが正確に拾えることよりも、そのミュージシャンの持つ“呼吸”や“間”を盗むことの方が大切だと思います。
「どのタイミングでフレーズを弾きはじめるのか?」とか「どんなタイミングで音を切っているか?」とか「強弱の付け方はどうか?」など、自分の憧れのミュージシャンの“間”や“フィーリング”、“フレーズの歌わせ方”などを盗んで下さい。チョーキングやビブラート、リズムの「タメ」などの表現方法や「音色」を含めた“個性”を学ぶためにも「耳コピ」は大切な勉強だと思います。楽しみながら頑張って下さい。

僕なりの「耳コピ」のやり方(かなり手間のかかる方法ですが・・・)を紹介してみましたが、人それぞれ、やり方も聞こえ方も違うと思うので、いろいろな方法を試しながら「短いフレーズ」や「メロディ」などの簡単なものからどんどんチャレンジして下さい。慣れてくれば、どのポジションで弾いてるのか?とか、Keyは何か?などすぐにわかるようになります。
くり返しやってみることが大切です!頑張って下さい。 ( by JUN IWASHITA )


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