高田二郎が斬る!

ORANGE SQEEZERを斬る!


今回は“B級”&“チープ”シリーズ第1弾として、Dan Armstrong社の 『ORANGE SQEEZER』 (コンプレッサー)について伺いました。



高田

はい、今回はDan Armstrong社の 『ORANGE SQEEZER』 (コンプレッサー)です。なんで “オレンジ” かっていうと、このシリーズにいろんな色があったからなの。ブルー・〜とかいろいろね。

なんかカワイイですね。
高田

うん。最初に買ったのは高校生の時だから、もう20数年前になるね〜。渋谷のKAWAI楽器でこれとブルーのやつを買ったんだよ。

ブルーのやつは何のエフェクトなんですか?
高田

それは、“サスティナー” だったかな。カナリの曲者だったけどね.。(爆笑)

エッ、どうだったんですか?

高田 もう、音が歪みすぎちゃって使うのに苦労したんだよね。
やりすぎちゃってるわけですね。(笑)

高田

今回からはこの手の “B級” & “チープ” シリーズでいってみようと思って、まあその第1弾としてこの 『オレンジ・スクゥイーザー』 を取り上げてみました。この手のエフェクターのは、おもしろいの多いからね!

確かに。変でカッコイイのいっぱいありますからね。楽しみです。

高田

これも、なんと言ってもルックスがかわいいでしょ?ギターに直接差し込むってのがまた変わってるよね。
今みたいに “ストラト・タイプ” のギターに付けるとちょっとカッコ悪いけどギブソンの “335” に付けると結構カッコイイんだよね。普通の “ストラト” のジャックだと差さらないけどね・・・。

“335” なら表にまっすぐ付いて、ロゴも色もバッチリ見えますからね。

高田

そう。で、これが当時ハヤったのはやっぱり 「リー・リトナー」 が使ってたから。この 『オレンジ・スクゥイーザー』(コンプレッサー)にローランドの 『コーラス・アンサンブル』(CE-1)を組み合わたサウンドがすごくハヤったんだ。確か、リトナーの3枚目のソロ・アルバムでそのサウンドが聞けるはずだよ。
日本では 「SQUARE」(T-SQUAREになる前)をはじめ、みんなマネしてたよ。ヤマハのSGにつないでね。(笑)

なんか時代を感じます・・・。

高田

(笑)僕はこれを手に入れる前はMXRの “ダイナ・コンプ” っていう赤いコンプレッサーを使ってたんだけど、あれは音がペシャペシャになっちゃうんだよね。それに比べてこれは音がヤセなくていいね。

“ダイナ・コンプ” は確かに音ヤセするかもしれませんね。
高田

ヤセるというか、音がつぶれすぎちゃうんだよね。『オレンジ・スクゥイーザー』 は音ヤセもなくてFATな感じ。それで、中を開けるとビックリしちゃうんだけど 〜分解〜
ほら、無茶苦茶シンプル。基盤が1枚と9vの乾電池のみ!この仕切りなんて、ただの厚紙だもん(笑)この基盤も簡単に取りだせるんだ。ホラ。

ほんとだ〜。なんか機械なのに味がありますね。(笑)

高田

で、この黒い丸いのが2つあるんだけど、奥のほうが 「コンプのかかり具合」 を調節するツマミになってて手前が 「アウト(出力)のレベル」 を調節するツマミになってるのね。これを回すには精密ドライバーが必要だね。

エッ!ということは、エフェクトのセティングをするのにいちいち分解しなくちゃならないってことですか?しかも細かい作業だし・・・。ちょっとカルチャー・ショックです。

高田

確かに面倒臭いね。 〜レベル調整〜
(笑)なんか笑っちゃうね。作業姿もカッコ悪いし・・・。

なんか子供の頃の工作を思い出します。(笑)

高田

よし、セッティングができたところで、肝心の音の解説に入りましょう。

あっ、あまりのスゴさに忘れてました。お願いします。
高田

これは <コンプ> を上げすぎると、弾いたアタックの後に 「ブワーン」 って低音が後から持ち上がってきてスゴイんだよね。それが “ダイナ・コンプ” みたいな感じとはぜんぜん違って “太い” んだよ。〜調整&試奏〜

なんですか、この音は(笑)
高田

安物のコンプと一緒で、弾いた一発目がおもいっきり出ちゃって、その後いったんレベルが下がって、また持ち上がってくるって感じだよね。
まあ実際にはここまで強くはかけないけど、音質的にはかなりイイ感じ。これだけキツくかけても <コンプ> 独特のうすっぺらい感じにもならないしね。

どうしてでしょう?
高田

この手のチープなエフェクターによくあることだけど、ほんと偶然にうまいことできちゃったんだろうね。
この 『オレンジ・スクゥイーザー』 も当時大ヒットして、そこに日本の企業が目を付けたのね。パテントを取って日本で生産するようになったんだけど、そしたらやっぱりぜんぜんダメになっちゃったんだよね。それが3期目だったかな。

コンデンサーとかの部品類がやっぱり違っちゃったんでしょうね。
高田

うん。一番初期のやつはこのスイッチのツマミに白いのが付いてないはずだから、これは第2期目のやつだろうね。買い値も1万5千円くらいで当初とあんまり変わらないけど、初期型は3〜4万で取り引きされてるんだよね。

すごいプレミア付いてるんですね。

高田

俺も前に初期型を持ってたんだけど、“335” 以外のギターにも使いたくなっちゃって、特に “ストラト” は付けられないじゃない。それで俺、電気系弱いから、そういうの好きな友達に頼んで箱に入れてフット・スイッチを付けてもらうことにしたのよ。

普通のコンパクト・エフェクターみたいにしようとしたんですね?
高田

そう。そしたらその友達が失敗したんだよね〜!!!

エッ!オシャカですか?
高田

残念なことにその初期型はツブれちゃったのでした。でもこの2期目のも悪くないよ。
<コンプ> の効き方なんかは前に紹介したLINE6の金色のやつの中の “ブースト・コンプ” に似てて、あんな風に歪まないけど、ファットな感じなんかソックリ。
この間ビデオ見てビックリしたんだけど、「ジェイ・グレドン」 がいまだにこの 『オレンジ・スクゥイーザー』 をギターに差して使ってたんだ〜。「お前まだ使ってたのか〜!!」 って感じ(笑)

“335” に差してたんですか?

高田

いや、メーカーは忘れたけど普通のソリッド系のギターに差して使ってたかな。この 『オレンジ・スクゥイーザー』 のいいところは、歪ませた時(『オレンジ・スクゥイーザー』 の後にアンプやエフェクターで歪ませた場合)によりクリーンでツヤのある延びが得られるとこだね。
俺も昔、“335” にこれ付けて、その後にBOSSのオーバー.ドライブで歪ませてたことあったよ。例えば 「ジェイ・グレイドン」 なんかもそうだけど音を延ばしたままグリス・ダウンして、さらに音を持続しながらグリス・アップしていくみたいなのが、きれいにキマるよね。〜試奏〜

カッコイイ!最初以外はピッキングしないでそこまでダイナミクスを表現できるなんて素晴らしいです。こんな小さな箱なのにあなどれないですね!
高田

多少ノイジーにはなるけど、ギターはもともとノイズな楽器だからね。


もう一回 『オレンジ・スクゥイーザー』 をかけない音とかけた音を比べてもらっていいですか?
高田

うん。〜試奏〜 かけた時の方がマイルドになるというか、低音を包んでくれる感じだね。

ソリッド・ギターなのに “箱もの” っぽいニュアンスが加わる感じですね。
高田

そうだね。その辺が人気の秘密だったのかもね。結構使えるからどっかで見つけたらぜひ買ってみてくださいね。レア物だから持ってて損はないよ。

今日はありがとうございました。

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