高田二郎が斬る!

AD-5を斬る!


今回はアコースティック編(!?)です。高田さんが実際にライブでも使用されているBOSSの 『AD-5』 について伺いました。



高田

こんにちは〜(笑)。今日はアコースティック・バージョン!

いいですね〜。
高田

とはいっても “アコースティック風味”。厳密に言えばラインでつなぐからエレキなんだけどね(笑)。というわけで、BOSSの 『AD-5』 を紹介します。

よろしくお願いします。
高田 この 『AD-5』 は僕の場合、主にライブで使います。アコースティック・ギターというのはライブでは非常にキビシイ状況に置かれるわけで、ドラム&ベースがいたりしたらまずマイクでは拾えないでしょ!?
そうですね。
高田

エンジニアの人もマイクで拾うのを嫌がることも多いので、僕はこれ(AD-5)を使います。
で、この 『AD-5』 とは何かというと、簡単に言えばすごく便利な “D.I .” です。
僕のアコギにはピック・アップがふたつ付けてあって、ひとつは “ピエゾ・タイ プ” のブリッジの下で振動を拾うピック・アップ。
もうひとつは 「FISHMAN」 の “マグネット・タイプ” でサウンド・ホールにはさんで使うピック・アップ。このふたつをブレンドできるのがこの 『AD-5』 なんだよ。

2種類のピック・アップのいいとこ取りですね!
高田 そう。それももともと “ピエゾ” & “マグネット” という想定になってるから、非常にミックスしやすいのよ。

ほんとだ、 “ピエゾ” & “マグネット” それぞれの入力とツマミがありますね。

高田 2種類のピック・アップをそれぞれ 「モノ」 でつないで、「ステレオ」 でアウトできるようになってる。 で、この “マグネット・タイプ” のピック・アップだけだと、やわらかい音がするんだけど(エレキでいうフロント・ピック・アップにあたる)高音のハーモニクス(倍音)がでにくいのね。

アタック感も弱いですよね。

高田 うん。でもアコースティックのあったかみのある、いい部分はこの “マグネット・タイプ” のピック・アップで拾えるから、高音とかハーモニクス(倍音)、アタックの部分を “ピエゾ” で補うって感じだね。
このふたつをブレンドできるのが 『AD-5』 で、ハーモニクスもでやすくて、バランスのいいサウンドが作れるので重宝してます。

このスイッチはなんですか?
高田

そうそう、“ピエゾ” & “マグネット” それぞれのボリュームの横に “NOR” & “INV” を切り替えるスイッチが付いてて、これは 「位相」 を反転できるスイッチだよ。
“ピエゾ” と “マグネット” のふたつのピック・アップを一緒に鳴らすことによって、まれに 「位相」 がかんでしまって、フェイズがかかったような変な音になっちゃうことがあるのね。マイク2本で拾う時にも同じようなことがおきてしまうことがあるんだけど、そういう時は片方のピック・アップ(マイク)の 「位相」 を反転させてあげることで、問題を解決できるのよ。
『AD-5』 では “マグネット” の方の 「位相」 を反転する形でこのスイッチが付いてます。

ふたつのピック・アップ(マイク)を同時に使う時は要注意ですね。
高田

ふつうなら今のギターはギター自体にプリアンプを搭載してるんだけど。

「エレ・アコ」ってやつですね。
高田 そう、エレ・アコ。でも僕の使ってるアコギは 『Taylar』 っていって、洋服屋さんじゃないよ〜(笑)、ピック・アップを搭載していない普通のアコギだったのね。生音が気に入って、レコーディング用に買ったんだけどライブでもどうしても使いたくなっちゃって改造してしてしまいました・・・。
“ピエゾ” を仕込んだんですね。
高田 最初は “ピエゾ” だけでやってたんだけど、どうしてもシャリシャリしすぎちゃうんだよね。そこで 「FISHMAN」 のここ数年で非常に好評なこの “マグネット・タイプ” のピック・アップも搭載した時に 『AD-5』 もちょうど出て、これはもってこいだってことで 『AD-5』 を使うようになったのよ。
ブレンダーとして 『AD-5』 を使用するわけですね。あと 「FISHMAN」 のピック・アップはエリック・クラプトンも使ってましたよね。僕も使ってます・・・(笑)

高田

あと 『AD-5』 のすごく便利なとこは、「ANTI-FEEDBACK」!これがいいですね。
だいたいアコギは右ひざに乗せて(座って弾く場合)弾くから、サウンド・ホールが右向いてることが多いのでモニター・スピーカーを右側に置いちゃうとモロに影響受け ちゃうから、必ずモニター・スピーカーは左に置くのね。

ギターのサウンド・ホールとモニター・スピーカーが向き合わないようにするんですね。
高田

そう。それでも周りが盛り上がってきたりして音量を上げたりすると、どうしてもフィード・バック(ハウリング)しがちになるから、そういう時にこの 「ANTI-FEEDBACK」 が活躍するわけ。
ツマミは “DEPTH” と “FREQ” のふたつがあるんだけど、まず “DEPTH” をいっぱいにして、“FREQ” のツマミを左からゆっくり回して、フィード・バックが消えるとこを探すのね。
〜試奏〜

ほんとだスッキリ、ハウリングが消えますね!

高田

便利でしょ?まあハウリングしてる周波数を下げる仕組みなんだけど “DEPTH” でどれくらい下げるかを決めて “FREQ” でその周波数を決めるって感じです。
ライブ・ハウスとか会場によってハウリングをおこす周波数が違うから、これがあると非常に便利だね。

周波数といえば、『AD-5』 にはアンプみたいに “ベース” “ミドル” “トレブル” “プレゼンス” とEQが付いていますが・・・
高田 う〜ん、これはたいしたことないかも。ライブで 『AD-5』 を使っててEQしたい時はモニター卓(ミキサー)の人にやってもらった方がより性能のいいEQで補正できるから、お願いしちゃいます。

他にもいろいろ付いてるみたいですけど。
高田 あとはね〜、この “ACOUSTIC” っていう項目。これはちょっとオモチャっぽいんだけど、“BODY” のツマミでギターの箱鳴りをシミュレートして、“MIC DISTANCE” でギターからのマイキングの距離を変えるシミュレートができるようになってるらしいのね。
“MIC DISTANCE” はマニュアルによると、ジャラジャラ弾く時に部屋が鳴ってるような空気感がでるらしいんだけど、まあこれはディレイをかけてるだけだね〜。
あと “BODY” ってのは回していくとボディの小さいギターでもマーチンの “D” シリーズみたいな音に変わるらしいんだけど、まあLOWをブーストしてるだけだね(笑)。

手軽にちょっとキャラクターを変えたい時にはおもしろいかもしれませんね。ちなみに高田さんは使ったことは・・・?

高田 いつもOFFです(笑)。
あと “リバーブ” と “コーラス” が付いてるんだけど、“リバーブ” は結構使えます。ミキサーの人に頼むのめんどうな時とかはいつも 『AD-5』 でリバーブをかけてるかな。これでライブ・レコーディングした時もあるもの(笑)。
“コーラス” はステレオでアウトした時は結構キレイ。さすが 「BOSS」! 〜試奏〜
すごいキレイですね〜。
高田

でも仕事で “コーラス” はかけたことないけどね・・・。今の時代の流れとして、アコギはマイクで録っただけのようなシンプルなアレンジが多いからね。“コーラス” の出番がないのよ(笑)。
少人数の編成でコードに広がりを持たせたい時なんかは “コーラス” は結構生きると思うよ。

ステレオで鳴らすのがポイントですね。
高田

“ピエゾ” と “マグネット” それぞれをモノで入力してステレオでアウトしてる形になってるんだけど、僕のみたいにギターにボリュームが付いてない時は別に 「ボリューム・ペダル」 をかますことが多いんだけど、その時は “2in 2out” の出入力の付いたボリューム・ペダルじゃないとダメだから気を付けてくださいね。


宅録なんかにも使えますか?
高田

使えるとは書いてあったから、やってみたけど、やっぱりエレキになっちゃうんだよね〜。ライブにはバッチリだけどね!キャノン・アウトも付いてるから他に “D.I .” をかまさなくてもいいしね。ブレンダー & D.I .って感じでこれだけで済むから手軽だし。
あと、ひとつ惜しいと思うのが “コンプ” & “リミッター” が付いてない事。これ付いてたら完璧なんだけどね〜。僕はいつもミキサーの人に頼んで軽くかけてもらってます。

じゃあ 『AD-5』 はライブ用ですね。
高田

宅録でもアコギはマイクの方がいいと思うよ。コンデンサー・マイクは無理でもダイナミック・マイクで十分アコギらしい音で録れるからね。エレキではいろんなシミュレーターでかなりいい音を作れるけど、やっぱりアコギだけはマイク録りにはかなわないよね。

今回のまとめとしては?
高田

“宅録ではマイク。ライブでは 『AD-5』。” ってとこですね!

ありがとうございました。


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