高田二郎が斬る!

フェイザー&オクターバーを斬る!


今回は、高田さんが使用されているミュートロン(マエストロニクス)社の 「フェイザー2」 と 「オクターブ・ドライバー」 を例に、 『フェイザー』 と 『オクターバー』 について熱く語っていただきます。



高田

はい!今回はまず 「Phaser(フェイザー)」 !!!正式には 「フェイズシフト」 かな。まあとにかく 「フェイザー」 っていうエフェクトについて話していきましょう。

僕も大好きなエフェクトのひとつです。
高田

俺のお気に入りのフェイザーは “ミュートロン(マエストロニクス)” の 「フェイザー2」。アメリカ製だね。買ったのは18の時だから23年前になるね〜。値段は忘れちゃいました・・・(笑)

今買うといくらぐらいですかねー?
高田 いくらぐらいかな〜?4、5万くらいすると思うよ。
いい音しそうですよね。
高田

いろいろエフェクターがある中で、なんでこのフェイザーを選んだかというと、当時はリー・リトナーの大ファンだったからなのね。
本当は彼が使ってた “ミュートロン” の 「バイ・フェイズ」 がほしかったんだけど高くて手がでなくて妥協してこれを買ったの(笑)。基本的な 「フェイズ」 の部分は同じだろうと思ってね。


他社のフェイザーは考えなかったんですか?
高田

“マクソン” とか “MXR” とかいろいろあったんだけど、これに決めたのは他の機種が電池式だったのに対して電源ケーブルで直接電源をとれる形だったのが大きいかな。

トランス入りなんですね。
高田

そう。昔は今みたいにアルカリ電池なんて一般的じゃなかったから、いつも電池の消耗を気にしてなきゃいけなかったんだよね。それが面倒くさくてこれに決めたの。トランスが入ってるから重いのが難点なんだけど、デザインもかわいいしね。赤&オレンジ&紫のカラーリングも気に入っちゃってね。

音叉のマークもかわいいですね!

高田

あとね、これは117V使用で日本だと100Vで使うとこになるから関係ないはずなんだけど、なぜか通すだけでレベルが上がるし音が太くなるんだよ。 〜試奏〜

ほんとだ、不思議ですね〜。
高田

でしょ。「フェイザー」 っていうのは “位相” を逆にする仕組みになってるのね。
ふだん人間の耳は2個で壁とかからの “反射音” を感じて音の距離感とか位置感を認知してるんだけど、“反射音” って細かいところにぶつかったりすると、位相が逆になったりするの。
その “反射音” をいろんな位置から回転させたようなシュミレーションをしているのが 「フェイザー」 なわけ。

レズリー・スピーカーみたいですね。
高田

そう。部屋に居て、回転椅子で自分がクルクル回ってるような感覚だね(笑)。この回転のしかたは各メーカーごとに違うから、いろいろ試して自分の気に入ったカラーの回転をするフェイザーを探すことだね。

僕はずっと “MXR” のやつを使ってます。
高田 “MXR” からは45と90と100の3種類がでてたよね?
僕は90が好きですね。
高田

まあ 「フェイザー」 ってのは派手なエフェクトではないけども渋いアプローチにいい味がでるんだよね。じゃあ実際に使ってみましょう。

はい。

高田

この 「フェイザー2」 は3つのツマミがあって “RATE” というスピードを調節するツマミと “DEPTH”っていう深さを調節するツマミ、それと “FEEDBACK”っていう反射音の回数を調節するツマミが付いてるのね。
で、さりげなくフェイザーをかけて弾く時はあんまり “DEPTH” & “RATE” は上げないで浅めにゆったりとかけてあげるといいよ。 〜試奏(コードの響きを生かしたアルペジオ)〜

ちょっと変わったコーラスをかけてる感じですね。
高田

うん。これぐらいの設定だとオールマイティに使えて、こんな風に16ビートのカッティングをしてもいい感じになるよ。 〜試奏(カッティング)〜
あとは “DEPTH” を極端に上げて深くかける設定で16のミュート・カッティングなんかするとカッコイイよ。 〜試奏〜
ミュートしたブラッシング音にもフェイズがかかって 「うねる」 感じがいいでしょ?

アル・マッケイなんかがやってそうな感じでカッコイイです。
高田

でもこの深くかける設定でコード弾いちゃうと 「うにゃ〜うにゃ〜」 ってスゴイことになっちゃう(笑)。この設定でのミュート・バッキングの音はいろんなとこで、さんざん使ったな。

味があって使える音です!“FEEDBACK” & “DEPTH” をフルに上げて “RATE” を遅めに設定するんですね?
高田

そう。みなさんも、もしフェイザー持ってたらやってみてください!あと、型破りな使い方としてはフェイザーをかけたまま音を歪ますってのがあるね。フェイザーは最初にやった浅めの設定にして、アンプで歪ませます。 〜試奏〜 

すごい音ですね〜。
高田

要するにアンプで歪ませるってことは、減衰していくエフェクト音(フィードバック音)まで持ち上げちゃうわけだから、「うねる」 部分まで立ち上がって歪むのね。かなりエグイ音になるでしょ?
で、さらに “DEPTH” を上げてフェイザーを深くかける設定にすると「ジェット・フェイザー」みたいになるんだよ! 〜試奏〜

ジミヘンばりの音ですね〜!

高田 さらに “RATE” を上げてうねりのスピードも速くすると・・・
〜試奏〜
ゲゲッ!さらにジミヘンだー!カッコイイですねー。アンプがJC120とは思えない!
高田

(笑)70年代の雰囲気に戻れるよね!トレモロ的な感じも加わっていい感じ。でもこれ今使うと逆に新しく感じられるかもね。逆に時代にマッチしてるというか・・・。

新鮮ですよ、きっと。すごいいい音だし、デジタルでは絶対出ない音ですね。
高田

出ないね。デジタルのマルチ・エフェクターにも必ずフェイザーは付いてるけども決定的に違う音だよね。
「フェイザー2」 の方が音も太いし、かかりも深いから、使い方によってはかなり幅が広いね。でもこの間試したLINE6のやつはよくできてたけどね。

他にお薦めのフェイザーってありますか?
高田

うーん、“Small Tone” のフェイザーも結構良かったかな。まあフェイザーに関してはこんなとこかな。


高田

次はまたしても “ミュートロン” のエフェクターなんだけど今度は 「オクターブ・ドライバー」 !!

すごい名前ですね。
高田

いわゆる 「オクターバー」 なんだけど、これもデザインがかわいいよね〜。
これのおもしろいところは、オクターブ上の音とオクターブ下の音が同時に出るところで、この “MIX”っていうツマミでその比率を決められるようになってるのね。まん中(
12時方向)でオクターブと下が同じ音量で出る設定になってる。左に回せばオクターブ下が大きくなって、右に回せばオクターブ上が大きくなるわけ。
あと “TONE” のツマミも付いてるんだけどこれはあんまり意味がないかな。回してもぜんぜん音変わらないから(笑)。 〜試奏〜

すごい!ふつうオクターバーって下の音だけ混ざるものが多いけど、上も加わるとカッコイイですね!あと、このスイッチは何ですか?

高田

この “RINGER” ってスイッチをONにすると、1オクターブ上の音が混ざるわけ。これがドライバー(歪む)っぽい感じのテイストを加えてるんだと思うよ。
OFFにすると、ふつうのオクターバーみたいに1オクターブ下の音だけになる。

コンプかかったみたいな歪み感が出ますね。
高田

もうひとつ “STABILIZE” っていうスイッチが付いてるんだけど、このスイッチをONにするとギターからの信号がエフェクトに行った時に、わりとエフェクトのかかり方が安定するんだよね。
OFFにするとこんな感じ。 〜試奏〜

う〜ん、少し暴れた感じがしますね。

高田

わかりにくいけど、ONにした方が聞きやすいよね。当時、説明書が付いてたかどうか忘れたけど、付いてたとしても英語だったから最初ぜんぜんわかんなかった・・・(笑)。
で、このオクターバーのどこが気に入ってるかというと、トライアドぐらいの和音だったら弾いても大丈夫ってとこ!

ほんとですか〜?
高田

〜試奏〜 ほらね!ぜんぜん平気でしょ?かっこいいよね。この辺が当時、日本で出てたオクターバーなんかより性能がいいって感じたとこだね。
“STABILIZE” でかかりが安定するから2音、3音くらいならバッチリかかってくれる。

和音にさらにオクターブ上と下が混ざるからすごい重厚なサウンドですね。大好きです!
高田

こんな風に和音にまで対応するのは今のデジタルのハーモナイザーなんかじゃ絶対に無理なんだよね。性能が良すぎちゃうわけ。
単音で上に3度付けて下に5度を重ねたりして、きれいにハモるのはデジタルの方が向いてるけど、ギターの細かいところのニュアンスなんかはバラつきがでちゃうんだよね。しかも少しタイミングも遅れちゃうしね。高性能のデジタル・ハーモナイザーですら遅れるもの。
その点これはアナログだから遅れはないし、ニュアンスもきちんと出る。まあ性能のいい高音質ってわけじゃないけど味のあるデジタルには真似のできないカラーを持ってるよね! 〜試奏〜

微妙な音程まできれいにハモッてますね。

高田

このオクターバーは、このあいだ出したブロークン・マシン(高田さんのユニット)のアルバムの最後に入ってるインスト曲で使ってるんだけど、普通のオーバー・ドライブじゃありきたりかなって思って1曲通してかけてみたのね。

どんな風に使用したんですか?
高田

オクターブ上が少し多めに混ざる設定でリードを弾いたんだけど、やっぱりドライバーっていうニュアンスがあるよね。 〜試奏〜

はい、かなり太い音になりますね!
高田

もともとこれを買った動機ってのもやっぱりリー・リトナー先生の影響で、リトナーが単音でオクターブ下の音だけ混ぜてファンキーなリフを弾いてたのが妙にカッコよく聞こえて俺もやりたいって思って買ったの(笑)。ギターなのにベースみたいな音が出る〜ってね。
このスイッチでオクターブ下の音だけにできるからベースとしても鳴らせちゃう!昔デモ・テープ作ってる時にベースがなくてこれで代用したこともあるよ。無いよりましかってね(笑)。
あとオクターバーをかけた音に歪みを加えた感じもジェフ・ベックとかレイモンド・ゴメスとかのサウンドで聞けるよね。

カッコイイですよね。ジョン・スコとかもよくやってますよね。


高田

実はこの “ミュートロン” のオクターバーはデジタルのが出てから10何年も使ってなかったんだけど、ブロークン・マシンのレコーディングの時に急に使ってみようって思って久々にひっぱり出してきて使ったら、こっちの方がぜんぜん味があっていいな〜って再確認しちゃいました!(笑)。
デジタルでいろんな事はできるようになったけど、アナログって人間の作った 「いい加減さ」 みたいなとこが味になってていいよね。
ギターなんて音を “劣化させてナンボ” みたいなとこあるから、デジタルできれいに高音質のまま処理するのが 「音楽」 にとっていいかっていうと、また別の問題になってくるよね。アンプのスピーカーだって性能がいいわけじゃないわけだしね。

ギターってのはアレンジを壊す役割ですからね〜(笑)。
高田

まあこのオクターバーってのは使う目的は限られちゃうけど、「ここぞ!」って時にはすごく効果的だね。このオクターブ上が混ざるのが “オクタ・ファズ” にも似てて気に入ってます。デジタルには出ないテイストだね!
10年以上たってもまだまだ使えるし、これからはさっきのフェイザーとこのオクターバーは復活させていろんなとこで活躍させようと思ってるんだ。
楽しみにしててね〜。とっておいてヨカッタ〜って感じ。

じゃあ高田さんの“大アナログ宣言”っていうことで締めましょうか(笑)。ありがとうございました。


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