高田二郎が斬る!

MM4を斬る!


 前回にひきつづき、高田さんのお気に入りでもあるLINE6社の “Stomp Box Modelers” シリーズの 「MODULATION MODELER」 (MM4) をじっくり検証してみたいと思います。


高田 今回は 「モジュレーション・モデラー」 だね。16種類のうち、4種類を詳しくチェックしてみます。
高田さんのお気に入りってことで?
高田 そうそう。まずは 「Tri Chorus」 。これはねー、日本の “サン・リース” って楽器レンタルの会社がスタジオ用に開発したものなのよ。
ほんとですかー?
高田 だから、もともとはギター用じゃないんだよ。アメリカでは 「CS-5」 って名前で売られてたんだけど、それがLAのスタジオ・シーンでよく使われるようになったの。それを知ってか知らずか、俺もたまたまこれを買ったんだよね。
たまたまだったんですね?
高田 そう。何かいいコーラスがほしくてね。Michael LandauとかSteve Lukather 、Dann HuffなんかのLAスタジオ・ミュージシャンの間でよく使われてたみたい。特にMichael Landauはよく使ってたかな。
このコーラスは “トライ” って名前のとおり、3つのコーラスが別個に独立してかかるのね。アナログ回路だから、デジタルの 「ウルトラ・ハーモナイザー」 に入ってる 「Rich Chorus」 なんかよりも、ずっとあったか味のある音なんだよね。要するにデジタルのものは、どうしてもキレイすぎちゃうんだよ。
わかります。デジタルものは、シャリンって感じで線が細い感じがしますよね。
高田 これもシャリンってすることはするんだけど、なんか違うんだよ、うん。で、これはオリジナルの仕様が “モノIN、ステレオOUT” (モノラルの信号をステレオ信号に変換する形) だから、今回の試奏のセッティングも同じように、直接ギターから “モノ” でINPUTして “ステレオ” でOUTする形にしてあるからね

ところで、どんな音なんですか?
高田 このコーラスは、特に女性シンガーに合う音なんだよね。これだけでもキレイな音なんだけど、ディレイとリバーブを足すとすごいんだな、これが。アルペジオ系なんか、このセッティングでステレオで鳴らすと、すごいキレイな広がり感にもう酔っちゃうね。
音に包まれる感じですね!高田さんの持ってるオリジナルと比べてどうですか?
高田 もう、まったくいっしょ!きちんとモデリングされてる。すごいすごい。
3つのコーラスが一緒にかかるしくみなんですよね?
高田 そう。簡単に言うと、R (ライト) 、センター、L (レフト) みたいな感じで3つのコーラスがあって、それぞれが独立して深さとか調整できるんだけど、たいていは全部同じくらいにセッティングするね。あとは、揺れ具合のスピードの調整ができて、3つを全部一緒に鳴らすしくみになってる。
今までいろんなコーラスを試したけど、こんなにリッチなサウンドのするコーラスは珍しいね。
ほんとキレイな音ですね。

高田 次は 「Dimension」 。ローランドの 「Dimension D」 のモデリング。 「Tri Chorus」 もそうだけど、今はもう売ってないし、手に入りにくいね。
高田さんはオリジナル持ってるんですか?
高田 うん。2Uのラックでシンプルなデザインのやつ。これも、もともとはギター用じゃなくて、スタジオ向けに開発されたエフェクターなんだよ。
そうなんですか?ギター用だと思ってました。
高田 「MM4」 もオリジナルと同じで“スイッチ1〜4のOn/Off”ってしくみになってて、リッチな感じのバッキングに使える音だね。さっきの 「Tri Chorus」 はあんまり速いバッキングだと音の輪郭がボケちゃうけど 「Dimension」 は大丈夫。音のうねりが速いからね。

コーラスとディメンションの大きな違いはどこなんですか?
高田 「Dimension」 は、うねりを感じさせないまま広がる感じかな。それくらい音のうねりが速いのね。それで、スイッチ1からスイッチ4にいくほど広がりが増すしくみになってるの。
音のうねり方の違いがあるんですね。
高田 「Dimension」 のオリジナルの方はよく使ってたんだけど、最近はラック・ケースからはずして 「MM4」 で代用してる (笑) 。ディストーションと組み合わせてもいいし、クリーンでもリッチな音で愛用してます。
ポール・ジャクソンJr.なんかもよく使ってて、ディストーションと組み合わせて8ビートで弾いたりすると、結構エグイ音でいい感じになるのよ。高音の倍音が足される感じでね。
意外ですね。ディメンションってキレイなイメージだったから・・・
高田 ちょっと音の芯はなくなる感じだけどおもしろいよ。あとよくやるのが、20m/sから30m/sのショート・ディレイをかけて、シングル・ノートでバッキングしたりするとカッコイイかな。
ただ 「Dimension」 も 「Tri Chorus」 も今の時代には、あんまりハヤらない音かもね・・・。今はもっとレトロな音がウケてるから。
キレイすぎちゃうからですかね?
高田 そうだと思うよ。でも、この2つは今じゃもう手に入らないものだし気に入ってる。

スイッチの組み合わせとかはないんですか?
高田 基本的にはないかな。オリジナルのやつだとボタンを1つ押したら、もともと押してあったボタンが “パンッ” ってはずれるようになってたから。うわさでは、スイッチ3とスイッチ4を一緒に押したり、スイッチ1とスイッチ2を組み合わせると、音が変わるとか位相が変わるとか言われてたけど、ほんとのとこはわからないね。立証できなかった・・・(笑)
「MM4」 ではできちゃいますか?
高田 試してみようか! うーん、ほとんど変わらないねー。
あまり効果ないですね。

高田 次が 「Rotary Drum」 。フェンダーの 「Vibratone」 のモデリングなんだけど、ギターには 「Leslie」 のモデリングよりこっちの方が合うかな。これはもう、ポーンと弾いた時になんとも言えない “世界” ができあがっちゃう。
その辺が 「LINE6」 のエフェクターのいいところですよね。
高田 うん。それに、この 「Rotary Drum」 はコードじゃなくて、単音で弾いてもいい感じなのよ。スティービー・レイ・ボーンも使ってたしね。 「Leslie」 の方は中域が削れちゃう感じかな。やっぱりこのフェンダーの方が好きだな。トーンも調整できるしね。
いい感じですねー。好きだなこれ。ワクワクします。
高田 この 「Vibratone」 とか 「Leslie」 の音は、まさしく “LINE6” でしか手に入らないよね。本物は大きすぎて気軽に持ち運べないし(笑)。昔風のサウンドなんかに入れると、バッチリな音だよ。
レトロな感じで、逆に今風かもしれませんね。

高田 (笑)4つ目はトレモロ系なんだけど、 「Pitch Vibrato」 。モジュレーション音だけ少しピッチをずらしてあるんだけど、強烈な音だよ。これはハイラム・ブロックが愛用してるよね。
“ LINE6” のトレモロ系は全部そうなんだけど、 “TWEEZ” のツマミが “ボリューム・センシティビティ” になってて、ピッキングのタッチの強さによって “揺れ” のスピードが変わるんだよ。細かいニュアンスが出るし、気が効いてる。
ハイラムっぽいですねー。
高田 これも今では手に入りにくいらしいね。それと、他のトレモロ系もかなり使える音だよ。 「フェンダー系」 のトレモロと 「VOX系」 のトレモロがあって、 「VOX系」 の方が “フェイズ” っぽいかな。うーん、 “ボリューム・センシティビティ” がいい感じだね。
最近ハヤリの “マシンガン・トレモロ” ってどうやるんですか?
高田 それは、 「フェンダー系」 の方で “TWEAK” を右にいっぱいにまわして、 “TWEEZ” をおさえ目にするのがコツ。それに、タッチじゃなくて “SPEED” のツマミで速さを調整するようにした方がいいよ。この音も歪ませたりすると、さらにカッコイイんだよね〜。
トレモロ系はかなり充実してますよね。

高田 番外編で 「Ring Modulater」 。これは、わけわかんなくて “キョーレツ” 。あと 「Dual Phser」 も単音でカッティングしたりすると、ほんとカッコイイよ。リー・リトナーが使ってて、ほしかったけど高くて買えなかったもんね。まさに “あの音” なんだよこれ。
「MM4」 は16種類が全部、今では手に入らないような “ビンテージ・エフェクター” のモデリングで、かなり使える音だし、充実してるよね。お買得です。
総評としてはどうですか?
高田 プリセットの音もいいんだけど、自分なりにエディットしていくと、さらにおもしろいと思う。特にトレモロとかは、アイディア次第で可能性がどんどん広がるしね。ほんとよくできてます。ごいすー! (すごいの意)
ありがとうございました。


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