『リハーサル・スタジオ編』 パート.1
HDRを自分のバンドのデモテープ作りのために購入した人も多いと思います。
ギターやベース、キーボードなど「ライン録音」のできる楽器は自宅で録音することができますが、ドラムやボーカルの録音をするにはやはりリハーサル・スタジオを使うとよいのではないでしょうか。
リハーサル・スタジオを借りるにもお金はかかってしまいますし、効率良く録音をするためにどのような準備をしたらよいか、今回はそのためのヒントを紹介していこうと思います。
まずはトラックの割り当てから
まず最初にどのようなポイントを自分達が重視しているのか、バンドのメンバーできちんと話し合いましょう。バンドの音楽性、曲のテーマや聞かせドコロ、メンバー各々こだわりたい音色など出し合った上で、トラックの割り当てやエフェクターの使い方など決めておきましょう。
 コーラスが得意なバンドだったらコーラス・パートに各々トラックを割り当ててもよいですし、ギタリストが『ステレオでギターリフを入れて、アルペジオをBメロとギターソロのバックに入れて、最後にソロパートを入れて、、、』といえばこれだけで4トラックは必要です。自分達が必要とするトラック数をキチンと把握しておきましょう。もちろんトラック数が増えれば録音時間も長くなってきますからHDRのハードディスクの容量や、スタジオ代の予算も考えないといけません。
いま所有しているHDRが何トラックあるかによって、「ピンポン録音」を何回するかなど録音の方法も決まってくるはずです。入力端子がいくつあるかによってはできる楽器やマイクの本数が決まってきますし、内臓エフェクターを使う場合は何の音にどんなエフェクトをかけるかも考えておけば、エフェクターの「かけ録り」をするかしないかも決まります。とにかく自分のHDRがどのような性能を持っているか把握することも大切です。

 ★ 君のハードディスクMTRは入力端子はいくつ?


このモデルには8つのインプット端子があります。
マイクやキーボードなどたくさんつないだ同時録音ができます。



「トラックシート」を作ろう
録音方法の設定や曲のアレンジの方向性が決まったら、HDRの限られたトラックを有効に使うためにも「トラックシート」を作っておいてください。要するにメモ帳です。HDRは「バーチャル・トラック」という仮想のトラックを持っていて、トラックがたくさんあるからといって録音を次々に進めていくと、どのトラックに何の音を録音したのかわからなくなってしまうことがあります。また自分達が必要とするトラック数よりもHDRのトラック数が少ない時には、「ピンポン録音」しながら録音していかなければならないかも知れません。後で編集作業をする時にもスムーズに作業ができますから、必ず「トラックシート」を1曲ごとに作っておきましょう。

● 8トラックのHDRで「バーチャル・トラック」が8つあるモデルの場合の例

※この例では“3トラック&4トラック”、“5トラックと6トラック”をステレオチャンネルとして作ってみました。
click TAKE1 STEREO     ソロ 1 TAKE1
  TAKE2         ソロ 2 TAKE1
            ソロ 3 TAKE1
               
              コーラス1
    仮MIX 1 リズムMIX 1   コーラス2
    仮MIX 2 リズムMIX 2   コーラス3
    仮MIX 3 リズムMIX 3    
  クリック ベース ドラムL ドラムR ギターL ギターR ギターソロ ボーカル

小節

時間

イントロ
0:07
24
Aメロ
0:30
40
サビ
0:50
56
サビ
1:10
フェードアウト

「トラックシート」には『Aメロは何分何秒から、、、』 『ギターソロは何分何秒から、、、』など曲の構成をメモしておきましょう。とくにリズムマシンやキーボードなどの「打ち込み」を使う場合には小節数も書き込んでおくとよいでしょう。HDRは曲の好きな部分に瞬時に頭出しをすることができますから、録音したパートの一部分だけ録り直しをする「パンチ・イン」をする時にとても便利です。

 ● 「パンチ・イン」 「パンチ・アウト」ってど〜ゆ〜こと?

HDRには「オート・パンチ・イン」という、あらかじめ指定しておいた区間だけ自動的に「パンチ・イン」「パンチ・アウト」するという機能もありますから、ギターソロの録音の時など活用してみて下さい。
(一発でOKテイクが弾ける超絶ギタリストには関係ないかな!!!?)



各パートの録音の順序
 
特別な決まりはありませんが、演奏する人が自分の音意外になんの音を聴きながら録音したいかを話し合ってから決めてください。
基本的にはドラム→ベース→ギターまたはキーボード→ボーカルという順序が一般的です。
キーボードやリズムマシンなど「打ち込み」も録音するアレンジの場合には、スタジオに入る前にあらかじめキーボードやリズムマシンやシーケンサーなどとHDRを「MIDI *」で「同期」させておいて「打ち込み」の音を録音しておき、クリック(またはドンカマ…メトロノームのように一定の音を出す)を出せるようにしておきましょう。
* 「MIDI」については機会を改めて詳しく紹介します。
バンドのメンバーが揃って「せーの」で演奏している音を録音する、「一発録り」をする場合以外は、なるべく曲のテンポを決めて 「クリック」も一緒に聴きながら演奏したほうが録音した後では全体のリズムが安定して聴きやすくなるでしょう。(一人がずれると目立っちゃうかも、、、)

 ● 「クリック」の出し方


a. 内臓メトロノーム機能を使う
だいたいのHDRにはメトロノーム機能がついています。
1番手っ取り早い方法ですが、機種によってはクリック音が弱々しくて聴き取りにくいものもあります。


b. 外部シーケンサーを使う
シーケンサー、音源、モニター用ミキサーが必要になります。
多少面倒ですがクリック音だけ聴ければよいというドラマーさんがよく使う方法です。

※MTRのインプット端子が空いていれば、音源からMTRにつないでMTRでクリック音をモニターしても良い

c. HDRと「MIDI」で同期したクリック音を、 HDRに録音しておく
「打ち込み」を多用する人にとっては結構楽です。
1トラック潰すことになりますが、b.のように持っていく機材も増えませんし、なによりHDRのフェーダーでモニターのバランスをとることができるのはとっても便利です。
 
※クリックのトラックを再生しながら録音するとき、クリックのトラックに録音することはできません。

  1trのフェ―ダーを実際に動かしてボリュームのバランスをとってみましょう


モニターについて
よい録音をするためには演奏する人がキチンとモニターできるかが重要になってきます。
「モニター」用にかならずヘッドホンを用意しましょう。

高価なものでなくてもかまいませんが、必ず密閉型の音もれの無いものにしてください。
特にアコースティック・ギターやボーカルなどを「コンデンサー・マイク」で録音する場合は、マイクが小さな音も拾ってしまうので、ヘッドホンから音がもれてしまうようでは困ってしまいます。



また演奏する人とHDRを操作する人を別にした方が、演奏する人の集中力も高まってよい録音ができるので各々の人用に最低二つはないといけません。



HDRにはヘッドホン・アウトの端子が一つしかないものがほとんどですから、ヘッドホン・アウトを二つ以上に分配するプラグが必要です。

いざバンドのデモテープを作ろうと思うと準備がいろいろ必要なことはわかってもらえましたと思いますが、慣れてしまえばたいした事はありません。レコーディングスタジオのパック料金は結構値段もしますから、多少面倒でも自分達のデモテープを自分達でどんどん作っていくことは、経済的であると同時に、バンドの音楽性を磨いていく事にもつながっていくと思います。しっかりと準備をしてかっこいいデモテープを作り上げていきましょう。

次回はデモテープ録音にまつわるリハーサル・スタジオでの状況を想定して説明します。



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