せっかく高音質のデジタル式ハードディスクMTR(以下HDRと表記します)でデモテープを作っても、友達の家で聴かせたら「しょぼい」音だった!なんてことはありませんか? 「よい音で聴くこと」より「正確な音で聴こうとする気持ち」がモニターのコツだと思います。そこそこの予算も必要にはなりますが、5万、10万円のモニタースピーカーを購入する前に工夫次第で何とかなる部分も多いです。高価なモニタースピーカーですらセッティング次第では、持っている能力を発揮できないこともあります。スピーカーやラジカセの設置場所、電源コンセントの使い方に注意するだけでも断然音は変わってきます。 ![]() |
ちなみに僕は、スピーカー横の壁際にやわらかい布(家で使っていないテーブルクロス、予算¥0円!)を貼っただけで音がくっきりと締って、それぞれの音の分離がよくなりました。 今回は、『HDRの上手な使い方』として、せっかく高音質のHDRを使って録音をするからには「音にこだわりたい!」という人のために、ワンランク上の音質を得るにはどうしたらよいか?というテーマで話をすすめていこうと思います。 |
1 | マイクプリアンプってな〜に? |
まず最初にHDRでギターを録音するのにあたって注意しておいてほしいことがあります。 ギターとHDRの接続方法についてはSTEP.3のところで紹介したように、アナログ式カセットMTRの場合と変わりません。ただしHDRの場合、録音レベルの設定はアナログ式カセットMTRの時よりまして慎重におこなってください。アナログ式の場合、多少の入力レベルのオーバーはナチュラルな歪みとして聴こえるだけですが、デジタル式の場合はそれが「ジジッ」「プツッ」といった耳障りなノイズとなってしまう場合がありますから、入力レベルインジケーターで「CLIP」ランプが点灯または点滅しないように気をつけて下さい。 (STEP.4を参考にして下さい。) |
基本的にマイクロホンやエレキ・ギターなどは出力のレベルが低いので、STEP.4で説明した「適性レベル」でそれらをMTRでライン録音するためには、レベルを上げることのできるプリアンプが必要になります。
なぜでしょう? これはやはり単体製品のアンプ・シミュレーターやマイク・プリアンプが各々の個性的な『音』を持っているからであり、HDR内臓のアンプ・シミュレーターやマイク・プリアンプの音だけでは満足しきれないギタリストがたくさんいるからではないでしょうか。もちろん単体製品のアンプ・シミュレーターやマイク・プリアンプはパーソナルなMTR録音の場のみで活躍する物ではありませんが、、、。 ともかくHDR自体が、単体製品のアンプ・シミュレーターやマイク・プリアンプの音の個性を引き出せるほどの高音質になっているともいえます。 アナログ式カセットMTRを使ったことのある人ならギターを録音したとき、「音はよいけどノイズが気になるなー」とか「なんとなくコモッて聴こえる」と感じたことがあると思います。一方HDRを使っている人の場合、「音はクリアなんだけどやせた音に聴こえる」とか「もっと太いパンチのある音にならないかなー」という意見をよく耳にします。 これはHDRの性能が悪いと言うわけではなく、STEP.6でも説明したように、デジタル録音機器の根本的な性格にあるようです 。 |
2 | こんな時こそマイク・プリアンプ! |
さて、HDRに録音されたギターのデジタルチックな音がどうしても気に入らないとき、STEP.4の『EQを活用してみよう』で説明した方法などを使って対処できる場合もあるかもしれません。しかしEQを使った場合、やはりギターの音色そのものがイコライジングされてしまうのでその音色変化が気に入らないことも多々あります。 またそのようにして作った音はいろいろな楽器の音を多重録音したあとやミックス・ダウンしたあとなど、他の音に埋まってしまうこともあります。 そこでHDR録音の必需品として最初にお勧めしたいのが、マイク・プリアンプです。 マイク・プリアンプといっても、ただ単にマイクロホンを接続して適正レベルを稼ぐだけの物ではないのです。
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3 | マイク・プリアンプの種類について |
いわゆるマイク・プリアンプと呼ばれていなくてもD.I.ボックスのようにマイク・プリアンプの機能を果たすものも含めれば、現在多数のマイク・プリアンプが購入できます。価格も数千円から数十万円と様々ですがそんな中からでも自分の好きな音の出せる、あるいは自分に合った使い方のできるマイク・プリアンプを選びたいものです。まずは大体どのような種類があるのか知っておきましょう。 |
D.I.ボックス | アコースティックギター用 | アンプシミュレーター内蔵 |
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ダイレクト・ボックスとも言われます。サイズもコンパクトで価格も安めのものが多いようです。このようなタイプは基本的にはインピーダンス変換をする(ギターをMTRに繋げるようにレベル調整をする)ことを目的としたものですが、最近はギターのホームレコーディングのために設計されているものもあります。アンプ・シミュレーターやEQを内臓しているものや、アコースティックギター用のものは「とりあえずギターを繋いでみればなんとかなる!」という感じで使えるのでわかりやすく便利です。MTR録音に限らずライブなどに使うことも気軽にできます。 |
ギター用ラックマウントタイプ
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複数チャンネルタイプ
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ラックマウント・タイプとはプロフェッショナル向けの機器に多くみられるものです。 プロのレコーディングの現場では実に多くの異なるメーカーの機器が使われていますが、それらを整然と収納するためにメーカー同士である一定の規格に基づいて製品を製造しています。1U、2U、、、とサイズが決まっているわけです。このタイプのマイク・プリアンプはあらかじめギター用の様々な音色のプリセットが組み込まれていたり、より高級なパーツを使っていたりと高品質を謳っているものが多いようです。 D.I.ボックスタイプに比べてサウンドメイクの幅が広がる分、操作も多少複雑になっています。 |
ボーカル用マルチタイプ(トランジスタ式)
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ボーカル用マルチタイプ(真空管式)
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このタイプはおもにレコーディング・スタジオなどでマイクロホンを接続することを目的とされているようで、ラックマウント・タイプの物を多くみかけます。入力できるチャンネル数が多いものもあります。 ボーカル用に設計された「コンプレッサー」内蔵型のものやEQ内臓のものもあり、ボーカルマイクをはじめドラムマイク、アコースティックギターに立てるマイクあるいは直接楽器を接続したりと活躍の場を選ばない上に、トータルな音作りが可能なまさにマルチなプリアンプです。 中には大変高価なモデルもありますが、ギターにも積極的に使える魅力的なモデルが多数あります。 音質に関して個性的なものが多く、自分にハマればなくてはならないものになるでしょう。 操作するのにEQやコンプレッサーというエフェクティブな事に関する知識も多少は必要になってくるので、使いこなすのにはそれなりに覚悟がいるかもしれない、、、!? |
このように多種多様な中からMY・マイク・プリアンプをみつけるのは難しいかもしれませんが、自分の好きなギタリストがどんなマイク・プリアンプを使っているのか調べたり、ギタリストの友だちを作って意見交換したりしてみるのも楽しいですよ。 |
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