私事ですが、最近プラグイン・エフェクト(コンピューターベースのレコーディング・ソフト用のエフェクター)を購入しようと思って楽器屋さんに行きました。広告を見て値段の安いお店に行ったのですが、そこではなかなか納得の行く話が聞けずに帰ってきてしまいました。
後日、“いきつけ”の楽器屋さんで一時間程話し込んだ末、値段は高めだったんですが結局そこで購入しました。
  僕の場合、楽器や機材を購入の際、かならずお店の人と話をして納得できないと買わないようにしています。そのせいか買ったあとで『失敗したなー』とか『こんなはずじゃなかった・・・』なんてことはほとんどありません。
「信頼のおける店員さんがいること」も購入の際の大事なポイントのひとつですね。
『パン』と『フェーダー』について

実際に「MTR」に録音してみたけれど“音がコモッてしまっている”とか、“聞かせたいフレーズが他の音に埋まってしまう”とか、イマイチうまく録音できないという人も多いのではないでしょうか?
そんな時、高価な「マイク・プリアンプ」や「コンプレッサー」、「アンプ・シュミレーター」などを購入する手も考えられますが、まずは「MTR」でなんとかしてみましょう!
パンを設定しよう!

お気に入りのCDをよく聞いてみてください。ボーカルが真ん中から聞こえたり、異なるギターの音が左右からきこえたりとパートごとに左右に配置がされていると思います。この配置のことを『定位』といいますが、この『定位』を決めるのが『パン』だといってよいでしょう。ただしここで言う『定位』とは平面的なもので、「近くで弾いているように聞こえる」とか「遠くの方から聞こえる」といった立体的な『定位』については、また機会を改めて御紹介しようと思います。
 
●基本的に『パン』の設定に「正解」などというものはありませんが、まとまりのあるミックスをつくるうえでの
  簡単なポイントを挙げておきます。
1.最も聞かせたいメロディーやボーカルなどはセンターに置く。
2.同じリズムで刻んでいるような細かいフレーズを含むトラックを、同じ定位に置かない。
3.同じような音色のトラックを同じ定位に片寄らせない。
4..最終的に左右の音量バランスを整える。

また、ギターのフレーズによっては(特に短いフレーズ)、1小節分ぐらいの時間でリアルタイムで『パン』を左から右(またはその逆)に動かしてみるなんてのもアリです。ただしアナログ・カセットMTRの場合、再生する度にツマミを動かさなければならないので、気に入った動かし方ができたら、他のトラックに録音してしまいましょう。
いちばん聞かせたいメロディーやボーカルがきちんと聞こえるかどうかは、録音されたパートの音質やパン設定よりも、パートごとのフレーズ自体がどのようなものであるか、ということがいちばん大切です。
アンサンブルがイマイチまとまらない時など、『パン』を使ってアレンジの研究もしてみましょう。
アレンジの中心となるパートのトラックとその他のパートのトラックを、同じ定位にして聞いてみて下さい
(通常、センターの位置がよいでしょう)。
どのパートのどの部分がメロディーを引き立たさているか、またはジャマしているかをチェックしやすくなると
おもいます。それをもとにしてフレーズを再構築してみる事も、時には必要かもしれません。
 
☆まとめ
『パン』とは正確なところ、ステレオ(LR)2チャンネルにおいてのLチャンネルとRチャンネルそれぞれの音量バランスのことです。
MTRでは、あるモノラルのトラックをMTRのマスター・ステレオチャンネルに流す時、LチャンネルとRチャンネルのどちらにどれだけの音量を流し込むのか、を決めるのが『パン』だと言えます。
右の図のようにレベルメーターのついている機種の場合、視覚的にも確認できます。このような「あるトラックの音をどこかに流す」という『流れ』の概念のことを
バス(BUSS)』といいます。

後に紹介するつもりでいるデジタル式MTRなどは、この『バス』の概念を理解できていないと、その機器の性能を十分に使い切る事ができないものがほとんどですから、これをキッカケに覚えておいて下さい。
 注意!
機種によっては各トラックのファンクション・スイッチとパンのツマミによって、複数のパートを同時に録音する時やピンポン録音する際のトラック指定をするものがあります。このような機種の場合、自分が今からやろうとしている作業次第でパンのツマミを設定しなければならないので、取り扱い説明書をよく読んで正しい設定をしてください。

2 フェーダーを活用しよう!

  チャンネル・フェーダーはそれぞれのトラックの音量を設定します。マスター・フェーダーはMTRの複数のトラックの音量を全体にまとめて調節します。また機種によっては録音する際の適正なレベルの目安をチャンネル・フェーダーの横の目盛りに表示してあるものがあります。このようなときは、チャンネル・フェーダーをその目盛りの位置に合わせておいてから、インプットトリム(インプットゲイン)・ツマミを使って録音レベルを適正に設定するとよいでしょ

●複数のトラックをミックスする時のフェーダー設定の目安
左のスライダーを実際に動かしてみてください。
トラック1にメインのパートが録音されている場合は、1のヴォリュームを上げてみましょう。
1.まず最初にマスター・フェーダーを適正な位置に設定しましょう。 
  そしてすべてのトラックのチャンネル・フェーダーを完全に下げておきます。
2.同じリズムで刻んでいるような細かいフレーズを含むトラックを、同じ定位に置かない。
3.同じような音色のトラックを同じ定位に片寄らせない。
4.最後にその他のパートのトラックのフェーダーをちょうどよいバランスになるまで
  上げていきましょう。
チャンネル・フェーダーをリアルタイムに動かして、あるトラックだけをフェード・インさせてみたり、マスター・フェーダーを曲の終わりでだんだん下げて、曲をフェード・アウトさせるなど、積極的に動かしてみて下さい。ただし、アナログMTR の場合、マスター・フェーダーの動きを記憶する事はできないので、別にラジカセなどを用意して、マスター・フェーダーを動かしながらMTR を再生してそれをラジカセに録音するとよいでしょう。

 このように、アイディアが膨らむほど操作も大変なアナログ・カセットMTRですが、前回のレベル設定のことや『パン』設定のことなどを理解したうえでミックスができれば、それだけでもかなりのモノができると思います。
  ただ、やはり最近の主流であるデジタル式MTRは、非常に操作の自由度が高いうえに、ピンポン録音などによる音質の劣化も少ない、と言うスグレモノです。

次回は、いま主流のハードディスクMTRに焦点を当てて、さらなるMTRの活用法を紹介していきます。



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