フレットで覚える音楽の仕組み 第10回



 今回からコードの構成音をさらに増やしてテンション(Tension)・コードに入っていきたいと思います。
テンション(Tension)とは簡単に言うと「コード・トーン」+「テンション」という形で、コードにある種の緊張感をもたらします。「テンション」は“ナチュラル・テンション”(3度ずつの積み重ねでできるテンション)と“オルタード・テンション”(ナチュラル・テンション以外のテンション)の2種類に分けられます。
詳しくは下記の図を見てください。
普通は4和音(M7th、7th、6th、m7th、m7th(b5)、dim)に「テンション」を加える形をとります。
3和音(トライアド)に「テンション」を加える場合は“add”を使ってどの「テンション」を加えたかを示します。


ナチュラル・テンション・・・3度ずつ(ひとつおき)自然に音を重ねたテンション。
“M7th”はテンション扱いにすると、ややこしくなってしまうので「9thからがテンション」という風に整理して問題ないでしょう。“11th”もIVコードなどではナチュラル・テンションにあたりますが、響きはオルタード・テンション的ですので、オルタード・テンション扱いにしてしまっても問題ないと思います。
“13th”は6thと同じ音なのでコードにM7th、7thが含まれない時は“6thコード”扱いになります。
オルタード・テンション・・・簡単に言えば「ナチュラル・テンション以外のコード」ということ。
#とbが付いているテンションという風に整理してしまってもかまわないでしょう。
b11th”は3rdと同じ音になってしまうので存在しません。
13th”も7thと同じ音にあたるので存在しません。

 以上が「テンション・コード」についての簡単な説明ですが、実際にギターで押さえる場合はいろいろと問題がでてきてしまいます。まずコードの構成音の数に対して『押さえる指が足りない』という問題が出てきます。
そこでコードの構成音をある程度「省略」しなくてはなりません。
音楽理論一般では“4Way Close Voicing”という考え方を用いて、「9th系を加えたらルートを省く」&「11th系を加えたら3rdを省く」&「13th系を加えたら5thを省く」というテンションのすぐ下のコード・トーンを省くという考え方を用いてコードの構成音が4つ(4和音)になるようにしますが、ギターではこの方法も適していません。
4本の指で押さえられて、尚かつそのコードの特徴をきちんと表せる方法をマスターしなければなりません。
ここからは順を追ってそのやり方を説明していきます。

STEP1
「テンション」を加えていくわけですから「テンション」は省略できませんので、コード・トーン『Root&3rd&5th&7th(M7th、6th)』の音の一部を省略していきます。
『Root&3rd&5th&7th(M7th、5th)』のうちコードの特徴を表現するのに最も影響の少ない音は“5th”です。
省略するならまず“5th”ということですね。
下図で各コード・フォームの“5th”の位置をチェックしてみてください。
 注: “5th”や“b5th”などの5thが変化しているコードの場合、“5thとb5th”の部分がそのコードの響きを決める重要な役割をしているので気を付けてください。

 


 
●全てのフォームに共通する特徴

 5thRootの右斜め上にある。
 またはRootの真下にある。
 (2&3弦の場合を除く)
 
 3rdRootのすぐ左斜め上にある。
 (2&3弦の場合を除く)


Eフォームの5&6弦とAフォームの4&5弦の部分に注目してください。この部分だけを押さえるとロックなどではパワー・コード”と呼ばれる非常に力強い響きを持ったコードになります。
Rootと5thのみですのでメジャー・コードもマイナー・コードも関係ない強力なコードです。
逆にこのRootのすぐ上の5thを省略するとコードの響きがとてもやわらかくなります。
ジャズなどで使われるコードのほとんどは、この低音の5thを避けて押さえています。
下図で比較してみますので実際に音を出して確認してみてください。
STEP2
“5th”の次に影響力の少ない音は実は“Root”です。特にバンドなどベースのいるアンサンブルの場合、“Root”を気軽に省略してかまいません。“Root”はベース・パートの人にまかせて自分(ギター)は効果的な響きを作ることに専念してしまうわけです。ただソロ・ギターなどの場合はやはり低音の“Root”があった方が響きが落ち着きますので、押さえ方に工夫が必要です。左手の「第5の指」である“親指”を積極的に使って、上から“Root”を握り込んでしまいましょう。
STEP1の図2で各フォームの“Root”の位置をチェックしておいてください。

STEP3
“5th”&“Root”を省略してしまったら、あと残っているのは“3rd”と“7th(M7th、6th)”です。“3rd”はそのコードが「メジャー・コード」なのか「マイナー・コード」なのかを決める重要な音ですのでなるべく残すようにします。それでもコード・フォームによっては“3rd”をカットしなければ「テンション」の音に指が届かない場合もでてきますので、そういう時は“3rd”を省略することもあります。
一方“7th”はそのコードの「響き」を決める重要な役割をしています。
コードの4つめの音にあたるこの部分が“7th”なのか“M7th”なのか“6th”なのかによってコードのキャラクターが決まるのです。なるべく省略したくない音ですね。


 ここまでの説明をまとめてみると『“3rd”と“7th”があればコードのキャラクターを表せる』ということになります!実際に“3rd”&“7th”のみでコードが表せるかどうかやってみますので、フルに押さえたコードと比較してみてください。




“3rd”&“7th(M7th、6th)”があればそのコードの特徴を表すことができるという事はおわかりいただけたでしょうか?これで「テンション」を押さえるための指を2本確保できたことになりますね。
これから「テンション・コード」を組み立てていく上で、この『“3rd”&“7th”+“テンション”』という考え方が基本になっていきます。尚、テンションは高音弦で鳴らした方が効果的なので“3rd”&“7th”が比較的真中にある「Eフォーム」「Cフォーム」がテンション・コードに多用されるようです。
詳しくは次回音を出しながら説明していきますのでお楽しみに!

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