ワンランク上のドラム打ち込み実践編 その壱
パソコンを導入した音楽製作スタイルの概要を知っていただいたところで、今回からは実際に打ち込みなどをするためのノウハウを紹介したいと思います。とはいえ、実際にコンピューターを購入してDTMソフトをインストールするなどして音を出せるようになるためには、かなりの手間と根気がいるのも事実です。
これから新たにこのような音楽製作の為のシステムを購入しようとする人は、機材などに詳しい友人や信頼のおける楽器屋さんなどで納得行くまでいろいろなことを聞いておくことが大切です。
せっかく機材を揃えてもソフトを立ち上げることも出来ない、なんてことにならないようにしてくださいね。こんなことを言っている僕も実は最初の機材選びでつまずいて、パソコンの導入をあきらめかけた人間の一人なんです!
まずは一番最初に自分にあった DTMソフトを選んでから、パソコンやその他のハードウェアを決めていくと良いと思います。それぞれDTMソフトでのMIDI接続の設定やオーディオ・インターフェースの設定などが異なるために、ここでの説明は省かせていただきますがきちんとした機材選びをしてさえいれば心配はいりません。
分厚い説明書にめげずにトライしてください!

皆さんが曲を作る時はどのようにしていますか?
たいていは浮かんだメロディーにアコースティック・ギターでコードを付けながら作る、というパターンだと思います。例えばそれを緻密にアレンジしたい、CDのような音質で人に聴いてもらいたい、といったときに DTMソフトはその本領を発揮します。オーディオ・インターフェースにも左右されますが、特に最近高音質な録音が可能になってきていますし、編集作業の自由度は様々なアレンジのインスピレーションをも可能にするほどです。ただそれでも、打ち込みを使う場合は打ち込みの音自体がつまらない音だとせっかくの曲も台なしになってしまうかもしれません。そこでまずは曲の大事な骨格となるドラムのトラックの打ち込みのテクニックを紹介しようと思います。

1  曲のアレンジを考えよう
一番最初にドラムを打ち込む時に考えて欲しいのは、その曲のアレンジが生っぽいドラム(つまり人間が実際にたたいているようなサウンド)を必要としているのか、それとも最近のブラック・ミュージックのようなループっぽいドラムが合っているか、というようにイメージを持つことが大切です。もちろん最初は適当に打ち込んでおいて、後から音源の音色を変えて曲の雰囲気に合わせていくということも可能ですが、このイメージをある程度念頭においてやらなければ、かっこいいリズムトラックを作ることは難しいでしょう。

a.

アコースティックなサウンドを中心にしたアレンジの曲で、生ドラムっぽい打ち込みをしてみました。

このようにして聴くと打ち込みのドラムトラック全体にリバーブ・エフェクトがかかっていることがわかります。
DTM音源にはほとんどが音色に対してエフェクトがかけられるようになっているので、このようにエフェクトのかかったサウンドを選択したりまたは自分でエフェクトをかけていくことで、リアルなサウンドに近付けていくこともできるわけです。
b.
一般にヤオヤ系(808系)と呼ばれる音色を使って打ち込みならではのアレンジの曲も聴いてみてください。

a.で紹介した曲に比べて音数が増えているだけでなく、明らかに生身の人間では出来ないようなハイハット・ワークが入っていることがわかると思います。もちろんスネアドラムやキック・ドラムの音色そのものも大切ですから、そのような音色選びも大きなポイントです。
c.

今度は人間のたたいている生ドラム風のサウンドと、いかにも打ち込みっぽいサウンドの両方を同居させてみました。

まず第一に、左右の「定位」というところに注意してください。ループっぽいサウンドの方は、生ドラムっぽいサウンドに対してかなり左右両極端に振って配置してあるのがわかると思います。また同じような譜割では音が鳴っていないことにも気付いてください。いかに違う音色をコントラストを付けながら、且つうるさくならないように気を使うか、バランス感覚が要求されるところです。
  まとめ
ドラムトラックの打ち込みの第一歩は、曲に対するイメージを持つことです。そのためには普段聴くCDのリズムを良く聴いたり、ライブなどでドラマーがどのようにドラムという楽器をたたいているのかを見たりして研究することも大切です。そのような研究はきっと自分のギタープレイにも良い方向に反映されていきます!


2  ドラムパターンの基本
どのようなサウンドで打ち込みをするにせよ、リズムパターンの基本を知っていなくては話しになりません。
そこで基本的なパターンを紹介しつつ、そこでの打ち込みにおける様々なテクニックを紹介します。
4小節の基本パターンの聴いていただきますが、その1小節分を絵で解説しますので参考にしてみてください。
a.

8ビートのパターン

このような曲ではいかに本物のドラムらしい音に近付けていくかがポイントになると思います。
これはクォンタイズを普通にかけたものです。クォンタイズとは打ち込みをした際にずれてしまったタイミングを自動的に補正してくれる便利な機能です。DTMソフトには必ずついている機能です。
このクォンタイズをかけるとリズムはいわゆる『ジャスト』のタイミングになるというわけです。基本的にはクォンタイズをかけるのですが、全てのパート(ハイハット、スネア、キック)に対して常に『ジャスト』のタイミングでクォンタイズをかけてしまうと、非常に機械的で面白みのないものに聴こえてしまうのも事実です。

そこでスネアとキックはそのままジャストにしてハイハットだけを後ろにずらします。
さらに全て一定であったベロシテイ−に強弱を付けます。ベロシテイ−とは打ち込みの際に、MIDIキーボードの鍵盤をどれだけの強さで入力したかを表わすパラメーターの一つで、ドラムだけでなくその他のパートの打ち込みをする時に表現の変化をつけるために最も大切なパラメーターのひとつです。
生身の人間がハイハットをたたく強さは決して一定ではありませんよね。
それをベロシテイ−に変化をつけることで再現してみます。


今度は同じパターンで音色を変えてみます。また打ち込みで生ドラムを再現する際に一番その雰囲気を出しやすいのは、フィル・イン(よくオカズともいいます)の部分であると言えるでしょう。
2小節めと4小節めに注目してみてください。

このフィル・イン再現のコツはやはり「ベロシテイ−」にあります。
ここでは後ろのスネアが少し弱めのベロシテイーにしてあります。


また、早いテンポの8ビートのパターンではスネアドラムを少し前にずらしたりして、ドラマーの『突っ込み感』を再現することで勢いのあるリズムに出来たりもします。




b.

16ビートのパターン

これも 「クォンタイズ」をかけ『ジャスト』のタイミングにして、ベロシテイ−も一定にしたものです。
8ビートの例の時よりも更に機械的に聴こえます。あまりノリのあるドラムとは言えませんね。

そこで今度は人間がたたいていることを想像して、スネアと同じ位置にあるハイハットの音を抜いた上に、
べロシティーの変化を付けてみました。



今度は応用です。いわゆる「ハネもの」と呼ばれるリズムです。これは16ビートのウラ拍が少し後ろにずれてしまう独特のリズムでファンクやリズム&ブルースといったジャンルの音楽によく見られるものです。このリズムのうちこみのポイントはズバリ「クォンタイズ」です。クォンタイズの機能には「スイング」機能があり、ここで「スイング」の度合いをかえることでリズムを好みの「ハネ具合」にすることが出来ます。
スイング「30%」...トラック13と、スイング「70%」...トラック14の違いを聴き取ってみてください。

これがどれくらい後ろにズレるか(スイングxx%)で16ビートのハネ具合が変わる!
少ししかズレなければハネ気味という感じ
まとめ
まずはCDなどを聴いて自分が打ち込みたいリズムのモノを真似てみてください。
それでどうしてもそれに近いノリが出せない時は、きっと「クォンタイズ」「べロシティー」のやり方が適当でない場合が多いのです。サンプルCDなどが出回っていたりして打ち込みをするのは面倒に思えるかもしれませんが、などを好みの感じにするのはやはり打ち込むしかありません。
是非自分なりのかっこいいリズム作りに励み、曲作りの幅を広げていってください。
* 次回は、R&B系の音楽のリズムやトラック作りのウラ技などを紹介します。

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