ギターよもやま話 No.19


ギターのサウンドを決めるのにもっとも難しくて重要なのが『歪み』だと思います。
音作りの基本になるだけでなく、ギタリストの個性を決定づけてしまう重要な要素だからです。
さらに世の中にはたくさんのギターやアンプ、エフェクターなどが出ていて、その組み合わせやセッティングで出来る音は無限です。基礎知識も無く、ただただつないで、やみくもに音を出すだけではいい音は作れません。
「プレイ」も「音作り」もまずは“イメージ”を持つことが大切です。
特に最近はアンプ・シミュレーターなどが発達して色々なアンプの音が簡単に手に入るようになりました。
しかし、たくさんの音色がありすぎて、なにも知らずにそれらの機材を使いこなすことは至難の技でしょう。
そこで今回は“いい音”を作るためにも『歪み』の基本について解説してみたいと思います。

◆『歪み』とは?
どのようにして音は“歪む”のでしょう?基本的にはギターの入力が“オーバー”して“ドライブ”(歪む)するという事なのですが言葉ではわかりにくいと思いますので、下図を参考にしてみてください。

  歪んでいない音と「歪んだ音」を波形で見てみましょう

歪んでいない音

入力がピークを超えてしまい、この部分が歪んで聞こえる
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オーバードライブサウンド

歪んだ音の波形





この「歪みの波形」をエフェクトで作ることができる
(オーバードライブディストーション)


◆歪みの種類を知ろう

『歪み』系のエフェクターはたくさん出ていますがどれを選んだらいいか、わからなくなってしまうことも多いと思います。
自分がどんな『歪み』がほしいのかちゃんとイメージしてから楽器屋さんに足を運ぶようにしましょう。
自分の使用ギターやアンプ、自分のプレイするジャンルによっても様々ですので、これから解説する『歪み』の代表的な種類を知って、自分のお気に入りのギタリストの音などもイメージしながら自分に合う『歪み』を探し当ててください。
サンプル・サウンドも付けておきますので、ぜひ参考にしてください。
c クランチ
クリーン・アンプが少し歪んだようなサウンドでピッキングのニュアンスを確実に表現できる。
弱くピッキングするとほとんどクリーン・トーン(太いクリーン)に近く、強くピッキングした時に軽く歪むようなセッティング。最も“ヌケ”の良いサウンドで、ギター本体の特徴やプレイヤーの個性に忠実。カッティングなどもできてコーラスなどのエフェクターの乗りも良いのでロック&ポップスなど使用頻度は高い。
オーバー・ドライブ
まさにアンプが“オーバー”(入力がオーバー)して“ドライブ”(歪む)したサウンドをシミュレートしたエフェクター。歪みの量はあまり多くないが、ピッキングのニュアンスを損なわない。ロックで最も使用され“歪みで暖かみのある太いサウンドが魅力。トーンを上手く設定して“ヌケ”のよい音を心がけましょう。アンプ自体で歪むアンプのブースター(アンプの歪みの音色のまま歪みだけ増す)としても使用することが多い。
ディストーション1
70年代風のロック&ハード・ロックで聞かれる歪みの比較的の少ない味のあるディストーション。
ラットなどに代表されるサウンドでピッキングのニュアンスをしっかりと残したロック向けのサウンド。
フィルターのかかったような音は現代ではかえって新しいかも・・・。
ディストーション2
80年代以降のハード・ロックやヘビ・メタでよく使用されたパワー・ディストーション。
いわゆるディストーション。
音圧&歪みとも強烈で、それでいて独特の“ヌケ”&“軽さ”をもった気持ちの良いサウンド。
中域をカットすることでワイルドさをコントロールする。私的には「L.A.サウンド」のイメージ。
ディストーション3
ハード・コア&グランジ・ロックなどで使用される中域を完全にカットした圧倒的な歪み&音圧を持つ“ドンシャリ”サウンド。さらに低域をブーストして重たさを強調するとよい。
7弦ギターとの組み合わせは圧巻。パワー・コード一発で観客をノック・アウトできるサウンド。
ファズ
ジミ・ヘンに代表されるつぶれたようなサウンドは非常に魅力的です。
中域にクセがあり強烈に歪んだそのサウンドは一度ハマッたら病みつきです。ちょっとマイ・ブームです(笑)。90年代後半のイギリスのロックなどから、またたくさん聞かれるようになってきたようです。今もっとも新しいサウンドかも・・・。歪みが強烈すぎてコードがつぶれてしまい、何を弾いているのかわからなくなってしまう事もあるので、セッティング(歪みの量など)には気を付けてください。


◆代表的なアンプサウンド
アンプ・シミュレーターなどで必ずシミュレートされている「真空管アンプ」のサウンドを知っておきましょう。
基本の音作りに役に立つでしょう。

フェンダー系1(クリーン)
ツイン・リバーブ、デラックス・リバーブに代表される極上のクリーン・トーン。
ガラスが割れるような音は一度弾いたらやみつき。
フェンダー系2(ツイード)
ベース・マン、ヴァイブロラックス、チャンプなどに代表されるフェンダー特有のクランチ・サウンド。
太くて“ヌケ”のよいサウンドはブルース&ロックに最適。
マーシャル
7JCM800に代表される永遠のロック・サウンド。その高音域の倍音の素晴らしさとパワフルな低音は最高に気持ちの良い音。マーシャル・アンプが無かったら今のロックは無かったでしょう。
「オレンジ」などもマーシャル系のサウンド。

メサ・ブギー系
マーク・シリーズに代表されるそのサウンドはサンタナであまりに有名。
甘く、とろけるようなキメの細かい歪みはブギー以外には出せない味でしょう。

チョーキングして酔いしれてください。

ヴォックス(VOX)
AC30に代表されるサウンドはビートルズの使用で一躍メジャーに。
中域に特徴のある暖かみのあるロック・サウンドです。
MATCHLESSなどもAC30をベースにしたアンプです。
ニュー・アンプ
Soldano、PEAVEY、H&K、VHTなどの比較的新しいタイプのサウンド。
上記のアンプ達をベースに発展・進化させた、パワフルで個性的な音は現在では主流になりつつある。
各社、様々なアイディアが盛り込まれていてサウンド・メイク、使いやすさも非常に幅が広い。

※使用エフェクター
Tech21
SANSAMP CLASSIC
 LINE6
 DM4
CARL MARTIN
HOT DRIVE'N BOOST MK2
CARL MARTIN
THE FUZZ


上記の他にも最近ではよりクオリティの高い、アイディアに富んだアンプがたくさんリリースされています。
アンプを中心に音作りをしようと考えている人はお店にに行って色々試してみてください。
アンプの音色のタイプとしては上記の伝統的なアンプの音色を基にしているものが多いようです。
でも一般の方では環境、音量、スペースなどの関係でなかなか自分のアンプを持てないのが現状だと思います(特に日本では・・・)のでアンプ・シミュレーターなどを使う機会が多くなると思います。上記のアンプのサウンドを知っておくことで音色を選ぶ前にだいたいのサウンドをイメージできるようになり大幅な時間の節約になるはずです。
ぜひ参考にしてください。

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