高田二郎が斬る!

ディメンションDを斬る!


今回はローランド社の 『DIMENSION D』 について語っていただきました。



高田

は〜い、今回で最終回になりますが、ローランド社製の 『DIMENSION D』 (SDD-320)について解説していきましょう。

よろしくお願いします。
高田

まず、「ディメンション」 とは何か?というと、簡単に言えば “アナログ・コーラス” の一種です。

『揺れモノ』 系ですね。
高田 でも、その割に 「ディメンション」 って “コーラス” っぽくないんだよね。「ディメンション」 独特の効果があるというか、『ウネらずに広がる』 感じだね。

『ウネらず広がる』・・・、揺れ幅は細かいけども広がりがあるっていうことですね?

高田 そうだね。「コーラス」 というより 「フランジャー」 の早いのに感じが似てるかな。
確かに 「フランジャー」 がより広がってる感じに近い気がします。
高田 これは20年くらい前に買ったんだけど、もともと 「ディメンション」 ってギターよりも、ストリングスとかエレピなんかの “レコーディングする時に広がってほしい楽器” にかけるのが主流だったんだ〜。ギターに直接かけて使う人は、あんまりいなかったね。
どっちかというとスタジオ用のエフェクターって感じだったんですね?
高田 そう。ラック式だし、レコーディンング・スタジオに行くと必ずあるエフェクターだね。

それにしてもすごいルックスしてますよね。

高田

うん(笑)。簡単に説明すると、まずインプットのレベル調整が付いてないのね。だからギターの入力信号だとちょっと小さめなんだよね。
ただ、インプットがスイッチで切り替えられるようになってて “モノ・イン-ステレオ・アウト” という形と “ステレオ・イン-ステレオ・アウト” という形の両方で使えるようになってるのね。つまりインプットを “モノラル” か “ステレオ” の両方から選べるようになってるって事。
アウトは “ステレオ” のみです。あとキャンノンにも対応してるし、スタジオ用っぽいよね。

ディメンションD
確かにスタジオ用っぽいルックスですね。で、今回高田さんは “モノ・イン〜ステレオ・アウト” の形でセッティングしてあるんですね?
高田

そう。それで、いまだによくわからないんだけど、表に “1&2&3&4” という4つのモードを切り替えるボタンがついてます。

すごいシンプルですね。

高田

この “1〜4&OFF” の切り替えボタンは、基本的にはひとつずつしか押せないようになってて、1つ押すと前に押してあったボタンがあがる仕組みになってるのね。それにしてもすごいボタンだよね(笑)。この感じのボタンって今は無いよね〜。

「ガチャガチャ」 「パチパチ」 ってレトロな動きですね。好きですこういうの。
高田

結構、気持ちイイ・・・(笑)。で、このボタン (スイッチ) は1〜4にかけて、だんだん “動きが早くなる”。要するに 『より広がる』 っていうことになってるのね。

じゃあ「4」を押した時が一番広がるってことですね?
高田

そう。それとウワサによると、2つのボタンを同時に押すと、エフェクトのかかりが変わるらしいのね〜。

ホントですか〜?ボタンも2つ押せるんですか〜?

ディメンションD
高田

うん。うまくやるとほら、ひっかかるでしょ?どの組み合わせでもいけるんだよ!ほらね!

ほんとですね。3&4とか1&3とか2つずつ押せるんですね。
高田

でも俺にはエフェクトのかかりが変わってる気がしないんだよな〜(笑)。

確かに聴感上の変化は無い気がします・・・。
高田

2つ押しても大きい数字のボタンの方と同じ音がするよね。たとえば2&4だったら4を押した時の音だし、2&3だったら3を押した時の音。

より広がった方の音になるんですね?
高田

うん。ウワサでは2つ組み合わせた時に位相が変わって・・・みたいに言う人がいるんだけど俺にはわかんないな(笑)。〜試奏〜

僕にもわりません・・・(笑)。では、具体的な使い方について教えてください。

高田

はい。とにかく 「ディメンション」 って独特で、これがハヤった頃スタジオでよくやったのが、アンプじゃなくてラインでつないで使うってやり方。ラインでつないだ時にすごくきれいに広がるんだよ。

それで今日も直接ミキサーにつないであるわけですね?
高田

そう。それに今日つかってるギターがプリ・アンプ内蔵のギターだからさらにマッチングがいいんだよ。〜試奏〜 (1〜4の順) だんだん広がっていくでしょ?

すごいキレイな音ですね。シャラシャラしてる感じ。
高田

そう、このシャラシャラ感が 「ディメンション」 ならではなんだよね。アタック音なんかもジョリっとした倍音が出て、なんともいい感じなんだよ。ウ〜ン、なんて表現したらいいか難しいけど・・・ウネらないで広がるから音の輪郭がボケなくていいんだよね。
で、やっぱり使うなら “4番” かな。一番広がるし、ボタン(スイッチ)の色も違うしね!(笑)。

ほんとに4番だけグレーになってる〜!(笑)でも、ほんと高音の倍音が独特でいいですね。

高田

ラインで使うとこんな感じで、すごく効果的。ミュートした単音のカッティングなんかでもアタック感が独特になるし、もちろん 「コーラス」 っぽくアルペジオとか “ジャラ〜ン” っていう白玉 (ロング・トーン) のコード弾きとかにかけてもバッチリ広がって、すごくキレイだしね。〜試奏〜

いい音ですね〜。幸せな気分です。確かにウネってないですね。細かく揺れながら広がっていく感じがします。
高田

うん。これはやっぱり 「ディメンション」 ならではだね。ポール・ジャクソンJrのセッションなんか聴くと単音カッティングに 「ディメンション」 かけたサウンドがよく出てくるよ。
あとね、これにディストーションかけてもすっごいおもしろいんだよ!ジョワ〜って感じでエグイ音になるんだ〜。つなぐ位置は最後になるんだけど、ディストーションで高域の倍音とか、かなり出てるところに 「ディメンション」 でさらに倍音が増すからほんとジョワ〜って広がるすごい音になるね。でもぜんぜんうるさくない音なんだよね〜。不思議!

いろんな使い方できますね!

高田

そう。で、このモデルのあとにBOSSブランドのコンパクト・エフェクターの形で出たけど、それはちょっとデジタルっぽすぎたかな。もう別モノだったな。この 『DIMENSION D (SDD-320)』 はもう製造中止だから今ほしかったら中古で探すしかないね。

結構高いんですか?
高田

この間インターネットで調べたらアメリカで13万くらいで取り引きされてたね。

エ〜ッ!?高いですね〜。
高田

うん、名機だからね!今でも、ちゃんとしたスタジオには1台は置いてあるよ。ただ、ギターのラックに入れてる人は今どきあんまり見ないけどね(笑)。

今、試してみるならLINE6のMM4でモデリングされてるやつがいいかもしれませんね。
高田

そうだね。それが一番手軽かな。あれだとボタン (スイッチ) の組み合わせも自由にできるし俺もいろいろ実験してみようかな(笑)。みなさんもぜひ 「ディメンション」 を体験してみてください。 (ラインでね!)


それじゃあこの辺で「まとめ」をお願いします。
高田

今回は 「ディメンション」 についていろいろ話してきましたが、お薦めとして、単音カッティングとか 「ディレイ」 とか 「ディストーション」 との組み合わせなんかの時は 『ディメンション』 を使って、バラード系なんかのアルペジオや白玉ものの時は 『コーラス』 を使うっていう感じで “コーラス系の揺れモノ” を使いわけるといいと思います。
『ディメンション』 はあまりなじみの無いエフェクターかもしれませんが、ぜひ試してみてください!大満足まちがいなしです。

ありがとうございました。
高田

全12回、いろんなエフェクターについて僕なりのアプローチで勝手にしゃべってみましたが、みなさんがエフェクターを使ったり購入したりする時のヒントになってくれれば光栄です。
またどこかでお会いできることを願っています!ありがとうございました。



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