『ライブハウス編』
持ち運びの簡単なHDRですから、デモテープ作りや練習のお供にするだけではもったいない、というわけでバンドのライブのお供に使ってみよう!というのが今回のテーマです。
バンドを組んでいてライブをやろうと思った時、ドラマーがいないとか、シンセサイザーなどの音を入れたいけどキーボーディストがいない、といった悩みを持つ人もたくさんいるはずです。そんな時にも活躍してくれるのがHDRです。ライブで使う場合にはちょっとしたコツが必要ですが、ギターでは出せない様々な音色を鳴らしたりしてバンドの表現力を広げられることにもなりますから、ぜひチャレンジしてみてください。
打ち込みと何が違うの?
「打ち込み」という言葉をみなさんも聞いたことがあると思いますが、そもそも「打ち込み」とはいったい何でしょう?一般的には『MIDI』対応の「シーケンサー」に 『MIDIデータ』を入力(打ち込み)することによって、『MIDI対応の音源』を鳴らす、ということになりますがこのような手法を使って作られた音そのものを指していう場合もあります。MIDIについて簡単にいっておくと、デジタル楽器間の共通の言語のようなものであると考えておいて間違いはないでしょう。MIDIがあるおかげで様々なメーカーの デジタル楽器同士が同期演奏をしたりできるのです。

●シーケンサー&音源


※シーケンサーがMIDIを記録。音源は音を発信。
 MIDIケーブルはMIDI信号を伝える。オーディオケーブルは音楽信号を伝える。


●シーケンサー&音源内蔵キーボード


さて、ライブで「打ち込み」を導入する場合上図のようにシーケンサーと音源や、シーケンサー&音源内蔵型キーボード(現在主流のキーボードで、楽器屋さんにあるものはほとんどがこのタイプ)、あるいはリズムマシンなどを持って行き、それらを鳴らすことで「打ち込み」ライブができますが、あえてライブでHDRを使うということはどういうことでしょうか?


よく見てもらうとわかると思いますが、ライブで HDRを使うためには準備にかかる手間は一つ増えてしまうのは確かですが、トラブルがつきもののライブでの打ち込みには HDRのほうが安心して使えます。
☆HDRを使うメリットは?
1.荷物が軽い!
ライブの日はギターだけでなくエフェクターやら衣装?やら何かと荷物が増えてしまいがちです。
そんなとき「打ち込み」用の機材まで担いで行くのは結構たいへんですから、HDRとオーディオコード2,3本ほど持って行けばよいとなると HDRのほうが楽ですよね。
忘れ物の多い人なんかは特にね!?

2.トラブルのもととなる要素が減る!
ここでいうトラブルとはおもに「音が出ない」「違う音が出てしまう」といった類いのことです。
『MIDI』自体はとても便利な規格であると言えますが、時折「シーケンサー」が暴走してコントロールが利かなくなってしまうことがあるのも事実です。ライブでは小さなトラブルでも演奏を台なしにしてしまう場合がたくさんありますから、極力トラブルは避けたいものです。
HDRを使う場合はカセットテープのような要領で再生ボタンを押せばいいだけですから、万が一「音が出ない」といったトラブルに見舞われてもその原因をつきとめるのは容易になります。

3.生音も入れられる!
少しインチキな技かも知れませんが、普段はコーラスパートがあるのにライブの日にコーラス担当者が都合が悪くてこられないとか、アコースティックギターとエレキギターの両方入った曲を1曲だけやりたいとか、そんな時もHDRならOK!あらかじめそういったパートをHDRに録音しておけばいいんです。
でもあんまりズルイことは考えないでくださいよ。



まずは打ち込みから

「ライブでHDRを使う」といってもバンドにドラマーがいない場合はもちろん、シンセサイザーなどのいわゆる『上モノ』の音を入れる場合でも、まずは何かしらの方法で「打ち込み」をしなければなりません。
シーケンサーは現在様々なものがでていますが、パソコン用のシーケンスソフトと呼ばれるものもこれにあたります。
『MIDI』機器のことに関してはいずれ改めて紹介していきたいと思っていますが、もしこのような打ち込みのできる機材を今から購入しようと考えている人は選択肢があまりにも多いので迷ってしまうはずです。
機能の豊富さよりも使い勝手などを吟味してから購入したほうが良いと思います。デジタル機器とは言え、使いこなせるようになった楽器は後々まで自分の音楽製作のパートナーとなってくれるに違いありません。
実際僕が現在もっとも頻繁に使っている 『MIDI』音源はいまは生産されていない古いものです。
とにかく何かしらの機材で 「打ち込み」を皆さん各々がんばってやってみてください。
ここでは「ライブでHDRを使う」ための「打ち込み」の注意点を挙げておきたいと思います。

1.あまりに凝った打ち込みはしない
たとえドラマーがいないバンドでもギターなどの生楽器の音圧というものはライブでは際立ってしまうものです。
「打ち込み」に慣れてくるとやたらといろいろな音を入れてしまいがちです。
もちろんデモテープなどでは曲の雰囲気を出すために小さな音なども効果的に使えますが、ライブの場合そのような音は聴こえないと思って間違いはないでしょう。ライブ用の打ち込みにはトラック数をむやみに増やさないためにも、なるべくどうしても聴かせたいパートだけ入れるようにしましょう。
特に低音を含むパート(ベースに限らず)は音量の出し過ぎにも注意しないと、ライブハウスではモコモコになってしまって曲を台なしにしてしまうこともあります。

2.リズムが肝心!
ドラムを 「打ち込み」にする場合は言うまでもありませんが、ドラム系の音色(パーカッションやベル音なども含めて)はライブハウスでも聴こえやすいものですから、音色やフレーズなどよく練った方が良いでしょう。

3.必ずクリックを入れよう
ドラマーがいるバンドでは必ずクリック音を「打ち込み」しなければなりませんが、 ドラマーがいないバンドでもクリック音を「打ち込み」することをお勧めします。クリック音の出し方や聞き方は後で説明しますが、誰かがきちんとクリック音を聴いていないと大概演奏が走ってしまい、「打ち込み」の音とずれてしまいます。

4.モノラルのトラックを活用しよう
自分の持っているHDRのアウトプットに注意してみてください。
大体多くの機種がマスターステレオ1系統プラスAUX-SENDステレオ1系統の合計4アウトプットだと思います。これはステレオでアウトプットすると2系統しかありませんが、モノラルでアウトプットすれば4つの独立したアウトプットがあることになります。シンセサイザーなどの音色そのものの多くがステレオの音色になっているため、HDRに打ち込みを録音する時にもなんとなくステレオで録音してしまいますが、これをあえてモノラルにすることによって後々ミックスバランスを変える自由度が広がります。どんなに空間的なステレオサウンドのパートでもライブハウスではさほど効果の出にくいものですから、思いきってモノラルにした方が、当日ライブハウスのエンジニアさんと相談しながらそのライブハウスにあった音作りができるようになります。
 ●8トラックのHDRで常アウトプットをステレオとして使用した場合の例 

  



ドラマーがいない場合は
AUX-SENDもミキサーに
送ることが可能です。

 ●8トラックのHDRで常アウトプットをモノラルとして使用した場合の例
  


個々にバランスをとる事が出来る



さあライブだ!

「打ち込み」もばっちり、リハーサルも重ねたし後は本番あるのみ!というライブの当日、せっかくの打ち込みをカッコよく聞かせるためのちょっとしたポイントを紹介します。

1.ミックスバランスはあまり変えない
ライブのリハーサルを実際に始めてみるとそれまで練習でやってきたバランスと聴こえ方が変わってきてしまうものです。そこであわててミックスバランスを自分でいじってみても短いリハーサルの時間でどうこうできるものではありません。
エンジニアさんを信頼してモニターまわりの注文だけしっかり言い、むやみにHDRのフェーダーを動かすことは避けた方がよいでしょう。また本番中に何かがあたったりしてHDRの本体やフェーダーが動かないようにテープなどでとめておくとよいでしょう。

2.プラグをチェック!
HDRのアウトプット端子がRCAピンプラグの場合、それをフォンプラグに変換するプラグまたはコードを持っていると安心です。
加えて、使用すると思われるケーブル類の断線などがないか厳しくチェックしましょう。

とにかくトラブルというものだけは絶対にさけるべく万全の準備をしてください。
途中で演奏が止まってしまったり、演奏と「打ち込み」がずれてしまったりすると見ているお客さんもかなりずっこけますからね!ライブでも使えるようになるためには面倒なこともやらなければなりませんが、ここまで使えるようになっている君は相当HDRと仲良くなっていますね。
もう手放せない存在になっているのではないでしょうか。自分独自の録音テクニックもつかんでいることでしょう。

『録音のススメ』はひとまずこれで終了します。
次回からは新しいタイトルでギタリストのためにより実践的な録音の知識やテクニックを紹介します。



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